巴の港を抱く街と、市電でつながる三つの中心
函館市は北海道の南部に位置し、渡島総合振興局が置かれた中核市です。市街地の一部は、陸繋島になった函館山と平野側をつなぐ砂州の上に広がり、その西側に函館港があります。港の形が巴に見えることから「巴の港」とも呼ばれ、市章の図柄にもなりました。幕末には横浜・長崎とともに最初に開かれた交易港のひとつとなり、函館山の麓にある西部地区は外国人居留地として領事館や教会が建てられた場所です。洋風や和洋折衷の建物と石畳の坂道が、いまも一体の街並みとして残っています。
開港後の函館は、世界各地の食文化を早くから取り入れてきた街でもあり、その始まりの数々は「箱館はじめて物語」として紹介されています。食事の場所を考えるとき、洋食の店を候補に入れるのはこの街では自然な発想です。
暮らしの中心はひとつではありません。函館駅のある駅前・西部地区、美術館や図書館、百貨店が集まる五稜郭地区、温泉街と函館空港を抱える湯の川地区が、それぞれ別の顔を持っています。この三つを一本で結ぶのが函館市電です。湯の川を出て五稜郭公園前、松風町、函館駅前を通り、十字街から先で谷地頭方面と函館どつく前方面に分かれます。
鉄道はJR函館本線が市内の函館駅・五稜郭駅・桔梗駅を通り、五稜郭駅からは道南いさりび鉄道が北斗市の方向へ延びています。函館空港からは函館駅や新函館北斗駅へ向かう連絡バスもあります。本州とはフェリーと、北斗市にある新函館北斗駅を経由する北海道新幹線で結ばれています。相手と最初にやり取りする段階で、ふだん使う電停か駅をひとつ教えてもらえば、電停なら市電沿いの三地区から、JRの駅なら五稜郭駅か函館駅の周辺から、会う場所を絞り込めます。
気候も会い方を左右します。年平均気温は9.4℃で寒暖の差が大きく、夏は真夏日が年に数日ほどの涼しさですが、真冬の三か月は一日の平均でも0℃を下回り、平年の降雪量は300cmを超えます。市は豪雪地帯に指定されているため、坂道や屋外を長く歩く計画は雪のない季節に回し、冬は電停のそばで済む行き先に絞ると、相手も構えずに誘いを受けられます。
市内には北海道大学水産学部や北海道教育大学函館校をはじめ、国立・公立・私立の大学と短大があり、産業は観光業のほか水産業、食品関連、医療福祉が支えてきました。イカが「市の魚」に選ばれているあたりにも、港町の暮らしがにじみます。
初対面は水辺か城跡で、夜景はそのあとに
函館で初めて会う場所は、どの観光地を選ぶかより、何時に会うかから決めると外れが少なくなります。朝は駅前、昼は五稜郭や元町、夕方からは港側と、時間帯ごとに向く場所がはっきり分かれているからです。
| 場所 | 最寄りの電停・駅 | 合いそうな時間 |
|---|---|---|
| 金森赤レンガ倉庫と運河沿い | 市電 十字街 | 夕方から夜 |
| 元町の坂と教会群 | 市電 十字街 | 晴れた日の昼 |
| 函館山 | 函館山ロープウェイ山麓駅 | 日が暮れてから |
| 五稜郭公園と五稜郭タワー | 市電 五稜郭公園前 | 昼、春は桜の時期 |
| 湯の川地区 | 市電 湯の川 | 昼から夕方 |
| 函館朝市 | JR函館駅、市電 函館駅前 | 朝から昼過ぎ |
赤レンガ倉庫の運河沿いは、一度目に使いやすい
坂を下りたウォーターフロントでは、明治末期の赤レンガ倉庫群がレストランや画廊などの店として使われ、函館の中でも観光客の多い一角になっています。金森赤レンガ倉庫は明治の初めに開かれた洋物店を起源とし、倉庫の建つ一帯は幕末に造船所や外国人居留地があった埋立地です。運河に沿ってBAYはこだての建物が並び、日が落ちてからの水辺も見どころになります。人通りがあって屋内にもすぐ入れるため、初対面の緊張をほどくには向いた場所です。
元町の坂は、二人とも歩く気分の日に
元町と末広町の一帯は国が選んだ伝統的な街並みの保存地区で、カトリック元町教会、函館聖ヨハネ教会、旧函館区公会堂、元町公園、旧イギリス領事館などが坂の途中や上に並びます。「ガンガン寺」の愛称を持つハリストス正教会復活聖堂の鐘の音は、日本の音風景百選に認定されています。八幡坂の上からは港の方向を見下ろせます。見どころが坂の上下に分かれているので、下から上っていくか、上から港へ下りていくかを最初に決めると、その日の道筋がすっきりします。上り下りが続く散策になるので、坂を歩くつもりだと事前に伝え、靴を選んでもらえるようにしておくのが親切です。
函館山の夜景は、互いを知ってから
函館山は市街地の西端にある火山で、かつては要塞が置かれ、約半世紀にわたって一般の立ち入りが禁止されていました。そのおかげで自然が守られ、いまは砲台跡の一部も見学できます。展望台があるのは山頂の御殿山です。山頂からは、函館湾と津軽海峡にはさまれて扇のように広がる市街地と、ライトアップされた西部地区の建物、坂道の街路灯が描く光の筋が見えます。低い建物が多いぶん、通りの明かりがそのまま夜景の形になるのが函館らしいところです。印象に残る場所だけに、最初の約束で使うより、互いの人柄がわかってきた頃まで取っておくのが得策です。
五稜郭は明るい時間に、タワーと組み合わせて
五稜郭は江戸幕府が箱館奉行所の移転先として築いた星形の城郭で、国の特別史跡です。1857年に築造が始まり、1864年の竣工とともに奉行所がここへ移りました。いまは公園として開かれ、城内には復元された箱館奉行所が建っています。隣の五稜郭タワーに上がれば、市街地とその先の函館山まで見渡せます。函館が戊辰戦争最後の戦いである箱館戦争の地だったことも、ここに来ると実感しやすいはずです。歴史に詳しくない相手でも、公園を歩いてからタワーで街を眺めるという流れなら、気負わずに誘えます。
湯の川と朝市は、時間帯で選ぶ
市電の湯の川側には湯の川温泉があり、湯倉神社、函館市熱帯植物園、見晴公園、旧岩船氏庭園(香雪園)も同じ地区にあります。温泉街を歩き、植物園や公園に寄る流れは、昼から夕方にかけて会う日に合います。反対に函館駅のある若松町の函館朝市は、駅前で農家が野菜を立ち売りしたのが始まりの市場です。店の多くは朝から昼過ぎごろまでの営業です。朝食を兼ねて会い、そのまま駅前から次の行き先を決める、という函館ならではの約束もできます。
雨や雪の日は、五稜郭地区の屋内へ
五稜郭地区には北海道立函館美術館や函館市中央図書館、函館市芸術ホールがあり、天候を気にせず時間を使えます。城跡の散策を予定していた日に天気が崩れても、同じ五稜郭公園前で降りて行き先だけ切り替えられるので、約束そのものを延ばさずに済みます。美術館で同じ作品を見たあとなら、食事の席で感想を言い合うだけでも自然に時間が過ぎていきます。
倉庫街の外へ、函館山のまわりと北部地区
函館山のまわりには、市立函館博物館のある函館公園、函館八幡宮、立待岬、谷地頭温泉、外国人墓地が点在し、港側には緑の島があります。晴れた昼間なら函館山の上から津軽海峡越しに下北半島が見えることもあり、夜景とは別の目的で山に上がる日も作れます。市の北部地区には道立道南四季の杜公園や笹流ダム、四稜郭があり、車で会える相手となら、観光客の多い西部地区とは違う顔の函館を一緒に歩けます。
函館湾側の北斗市と、国道5号で北へ続く七飯町
函館市の西隣が北斗市、北隣が七飯町で、どちらも函館市と境を接しています。相手の住まいがこのどちらかなら、函館で出会いを探す範囲に入れて考えてかまいません。二つの市町とも、函館市内の駅と線路でつながっています。
函館湾に沿って西へ、北斗市
北海道新幹線の新函館北斗駅は北斗市にあり、函館駅との間を快速「はこだてライナー」が走っていて、新幹線と在来線の乗換駅になっています。上磯駅などの市内の駅は、五稜郭駅から出る道南いさりび鉄道の沿線です。
いさりび鉄道沿いに住む相手なら、函館本線と接する五稜郭駅で落ち合い、そこから一緒に函館駅方面へ出るのが無理のない段取りです。乗り継ぎの駅で先に顔を合わせれば、その後の行き先を二人で相談しながら決められます。新函館北斗駅の近くに住む相手とは、その乗換駅自体を待ち合わせ場所にする手もあり、函館側からははこだてライナーで向かえます。
国道5号を北へ、七飯町
七飯町は函館市から約16kmの距離にある町で、大沼国定公園の大沼も、函館市ではなくこの町の側にあります。
町の南部には函館本線の大中山駅と七飯駅があり、線路は市境を越えて五稜郭駅、函館駅へと続きます。七飯町で出会いを見つけたい人と列車で会うなら、待ち合わせは北斗市方面と同じ五稜郭駅か、乗り通した先の函館駅のどちらかになります。函館駅まで来てもらえば、駅前の朝市からそのまま市電で各エリアへ動けるので、その日の行き先にも幅が出ます。
五稜郭の桜、港まつり、冬の灯り、一年かけて深める付き合い
函館の一年は、城跡の五稜郭と港のあたりが、季節によってかわるがわる主役になります。
春の五稜郭公園は、桜と五稜郭タワーが一緒に写る景色で知られています。例年5月には箱館五稜郭祭が開かれます。夏には五稜郭の土手や堀を舞台に、市民ボランティアが函館の歴史を演じる「市民創作函館野外劇」が例年行われ、同じ城跡でも季節によってまるで違う過ごし方になります。初回に昼の五稜郭を歩いた相手なら、野外劇の季節にもう一度訪ねる、という組み立ても自然です。
夏の中心は函館港まつりです。当初は7月だった開催時期が、8月1日の市政記念日などを理由に8月へ移されました。例年8月上旬の数日間、市民パレードの「ワッショイはこだて」や「いか踊り」が通りを埋め、協賛の花火は緑の島から打ち上げられます。7月の函館港花火大会、8月の湯の川温泉花火大会と花火の機会は重なるので、どれにするかは二人の住まいに近い側で選べば十分です。8月13日は「夜景の日」とされ、函館山に上がる日をこの日に合わせるのも一案です。
秋は例年9月の「はこだてグルメサーカス」が、夏の祭りと冬の灯りのあいだをつなぐ催しです。
冬になると、街は灯りの季節に入ります。例年11月下旬から12月25日まで「はこだてクリスマスファンタジー」があり、12月から2月にかけては冬の夜の五稜郭をライトアップする「五稜星の夢」が続きます。クリスマスファンタジーは12月25日で終わるので、年内にもう一度会う約束の目安にもなります。11月から2月のはこだて冬フェスティバルの期間とも重なり、寒さの厳しい時期でも短い外出の目的を作れます。12月には函館港イルミナシオン映画祭も開かれるので、灯りの催しとは違う冬の予定の候補になります。五稜星の夢の点灯期間はあくまで例年の目安なので、誘う前にその冬の案内で確かめると確実です。
申し込みを受け取ったあとは審査を行い、通ったかどうかを入力されたメールアドレス宛てにご連絡します。