線路の南と北で表情が変わる湘南の住宅都市
茅ヶ崎の市域は海岸線から北へ広がり、地形は湘南砂丘となだらかな丘陵でできています。相模川下流域の沖積平野にあたり、市内を流れる小出川と千ノ川は南西へ下って相模川に注ぎます。境を接している自治体は藤沢市、平塚市、寒川町の三つです。
江戸時代のこの土地は、東海道の藤沢宿と平塚宿のあいだに広がる農村でした。街が大きく変わったきっかけは鉄道で、1898年に茅ケ崎駅が開業すると別荘地・保養地として発展し、1947年に市制が敷かれています。映画監督の小津安二郎が『東京物語』などの執筆に使った旅館があるのも、保養地として人を迎えてきた歴史の一部です。2023年には加山雄三さんが市の名誉市民に選ばれました。
行政の北口、文化と住宅の南口
市はおおむね東海道線を境に南北へ分かれます。北口側には市役所や市民文化会館といった行政施設と大型の商業施設が集まり、主な商工業地域も線路の北にあります。南口側には美術館や図書館などの文化施設が置かれ、住宅と商店が入り混じった街並みが海の方向へ続きます。南部は高い建物が少なく、いかにも湘南らしい低層の家並みです。
茅ケ崎駅には東京駅発着の東海道線に加えて、湘南新宿ラインと上野東京ラインも停車します。東隣は藤沢市の辻堂駅、西隣は平塚駅です。相模線の駅の中では橋本駅に次いで乗車人員の多い駅です。
表記にも一つ注意があります。駅名は茅ケ崎駅、北茅ケ崎駅と大きい「ケ」で書き、市名は茅ヶ崎市と小さい「ヶ」で書きます。待ち合わせの場所を文字で送り合うときは、駅名のほうの表記に合わせておくと取り違えがありません。
相模線沿いに広がる北部
茅ケ崎駅は相模線の始発駅でもあり、市内には同じ線の北茅ケ崎駅と香川駅があります。北茅ケ崎駅は1940年に開業した日東駅が前身で、近くには中央公園があります。香川駅は市北部の交通拠点で、周辺は住宅街です。駅前は個人商店を中心とした商店街、県道45号沿いにはロードサイドの店が多く並びます。相模原市緑区の橋本駅まで延びる相模線は、沿線の人たちの通勤・通学の足として定着しています。
この一帯には文教大学湘南キャンパスもあり、香川駅の周辺から北部にかけては、国指定史跡の下寺尾官衙遺跡群や、江戸中期の名奉行・大岡忠相の菩提寺である浄見寺も残ります。下寺尾官衙遺跡群は7世紀から9世紀前半ごろの寺院跡と高座郡衙で、海辺の印象とは違う土地の古さがここで見えてきます。北部には特別緑地保全地区に指定された清水谷もあります。
車より自転車が頼りになる理由
幹線道路を外れると道幅は狭く、東海道線を南北に渡ろうとすると踏切をいくつも越えることになります。茅ケ崎駅の北側を通る国道1号をはじめ、市内の各所で渋滞が起きやすいため、自転車で動く人が多い街だと言われています。主な道路は国道1号と国道134号、新湘南バイパス、湘南新道、産業道路(県道46号)です。
この事情は茅ヶ崎の出会いの段取りにもそのまま響きます。車で迎えに行く約束は到着時刻が読みにくく、初対面の日には相手を待たせる原因になりかねません。最初は駅か駅から歩ける場所で会い、相手が自転車で来ているなら、帰りに置き場所まで戻れる範囲で過ごす計画にしておくと、別れ際まで落ち着いていられます。
初めての日に歩きたい浜と庭園と里山
海沿いも庭園も、昼の光の中で歩くほうが魅力の出る場所ばかりです。海へ出る日は風と空模様を、庭園へ行く日は花の時季を目安に選ぶと、当日になって行き先を迷わずに済みます。
| 場所 | ひとことで言うと | 初めて会う日との相性 |
|---|---|---|
| サザンビーチちがさき | 中海岸にある海水浴場 | 駅南口から通りを歩いて向かえる |
| 湘南海岸・砂浜のみち | 自転車と歩行者専用の海沿いの道 | 晴れて風の弱い日の日中に限る |
| 氷室椿庭園 | 椿が200種以上ある市の庭園 | 予約なしで入れて、短い時間でも回れる広さ |
| 高砂緑地 | 茶室と書院のある日本庭園 | 庭を眺めながら落ち着いて話せる |
| 県立茅ケ崎里山公園 | 芹沢にある35.2haの県立公園 | 広いので二回目以降に回したい |
サザン通りを抜けて海へ
駅の南口から海へ向かう通りはいくつかあります。南口の東側からは雄三通りが延び、西側から出るサザン通りは、小さな丘を越えてサザンビーチちがさきに出る尾根道です。晴れた日の浜からは正面に烏帽子岩と伊豆大島、東に江の島、西に富士山が見渡せます。海水浴場として開かれるのは、例年7月の第1土曜日から8月31日までです。
旧称は茅ヶ崎海水浴場で、1999年に、市出身の桑田佳祐さんが率いるサザンオールスターズにちなんだ今の名前になりました。モニュメントの「茅ヶ崎サザンC」は「縁結びの輪」と呼ばれ、カメラを向ける人の多い場所です。初対面で記念写真を頼むのは少し早いとしても、浜までの道のりで話すことには困らないはずです。
照明のない海沿いの道は昼のうちに
浜に沿っては、藤沢市の鵠沼海岸から茅ヶ崎市の柳島まで、総延長約8kmの湘南海岸・砂浜のみちが続きます。茅ヶ崎市の海岸線そのものは約6kmです。高低差がほとんどなく、江の島や烏帽子岩を眺めながら散歩やジョギングができます。
ただし、この道には照明灯がありません。夕暮れのあとに歩く計画は避け、明るい時間の散歩にとどめるのが安全です。天気が崩れると強風や高波の影響を受け、風で路面に砂がたまりやすくなります。前日の予報で風が強そうなら、別の行き先に切り替える用意をしておきます。道の端にあたる柳島地区には、柳島スポーツ公園と、2013年にリニューアルした柳島キャンプ場があります。
住宅街の庭園で静かに過ごす
氷室椿庭園は、海岸に近い閑静な住宅街の中にある市の庭園です。個人から寄贈された庭で、平成3年10月に開園しました。約2,800平方メートルの敷地に椿や松、バラなど1,300本の庭木が植えられ、かながわの花の名所100選にも入っています。椿の見頃は例年2月下旬から春先にかけてです。休園日は通常、月曜日(祝日なら翌日)と年末年始ですが、3月中は休まず開いているため、この月に限っては曜日を気にせず訪ねられます。
高砂緑地は、明治の新派俳優として名高い川上音二郎の別荘跡に市が日本庭園を構え、昭和59年に開園しました。茶室・書院には「松籟庵」の名が付いています。梅が見頃を迎えるのは例年2月中旬から3月上旬で、椿の庭とあわせて、冬の終わりの静かな散歩道になります。
バスで北の里山へ
県立茅ケ崎里山公園へは、茅ケ崎駅北口からバスで向かいます。谷戸田や畑、雑木林といった里山の風景を残した公園で、関東の富士見百景にも選ばれています。例年、初夏にはテッポウユリや白ユリ、アジサイが咲き、晩秋にはもみじやけやきが色づきます。園内を歩く時間は長めになるので、歩きやすい靴で出かけ、帰りのバスの時刻を先に見ておくと一日を組み立てやすくなります。
寒川町と、大船の先の逗子・葉山に住む相手
周辺の町に住む相手とは、線路のつながり方で会う場所を決めると迷いません。茅ヶ崎市と境を接するのは寒川町で、逗子市と葉山町は境こそ接していませんが、東海道線から乗り継いで行き来できます。
相模線で北へ、寒川町
茅ケ崎駅を出た相模線は、北茅ケ崎、香川と市内を北へ進んで寒川町に入ります。寒川町と茅ヶ崎市は通勤通学や経済活動のつながりが強く、2014年には両市町が広域連携の推進を共同で発表しました。町は相模川の河口から上流へ約6km入ったところにあり、相模川と目久尻川、そして茅ヶ崎市内も流れる小出川がつくる低地が広がっています。
寒川町での出会いに目を向けるなら、茅ヶ崎と同じ相模線の沿線にあることが強みになります。町内の寒川駅や宮山駅、倉見駅から乗れば、乗り換えずに茅ケ崎駅まで来られます。こちらが市の北部に住んでいるなら、同じ相模線の香川駅の周辺で会う形も取れます。茅ケ崎駅で落ち合った場合は、南口からサザン通りを歩いて浜まで出られるので、内陸に住む相手にとっては海の近くまで足を延ばす一日になります。
東海道線で東へ、大船で乗り継ぐ逗子市
逗子市は茅ヶ崎市とは接しておらず、三浦半島の北西部で相模湾に面しています。市域の大部分が二級河川・田越川の流域で、川沿いに平地が広がり、田越川の桜と柳は市の景観の一つに数えられています。
茅ヶ崎からは東海道線で大船駅へ出て、横須賀線か湘南新宿ラインに乗り継ぐ経路があります。逗子駅は湘南新宿ラインの起点・終点です。逗子で出会いを求める相手と最初に会うなら、双方が一本の電車で着く大船駅の周辺が現実的です。
逗子駅の先、葉山町
葉山町も茅ヶ崎市とは接していない町で、北は逗子市、東と南は横須賀市と接しています。山口蓬春記念館などの文化施設があり、真名瀬漁港は釣りの拠点であると同時に、葉山朝市が開かれる場所としても名前が挙がります。相手の住まいが葉山なら、待ち合わせは町の西部から出やすい逗子の駅前あたりにすると、こちらも大船での乗り継ぎ一回で済みます。
浜降祭の夜明けと秋の芸術花火、二度目からの過ごし方
最初の顔合わせがうまくいったら、次は季節の行事を約束の理由にできます。茅ヶ崎の一年は、冬の終わりの桜から数えると見通しが立ちます。
冬の終わりは小出川の河津桜
市北西部の小出川沿いには、若木を含めて70本ほどの河津桜が植えられています。開花期にあたる例年2月中旬から3月初旬には、小出川桜まつりが開かれます。ちょうど椿や梅の季節とも重なるので、駅の南の庭園と川沿いの桜を、別々の日の約束に分けることもできます。
海の日の早朝に神輿が海へ入る浜降祭
浜降祭は例年7月の海の日に、西浜海岸で行われます。夜明けとともに茅ヶ崎市と寒川町の各神社から神輿が浜に集まり、「どっこい」の掛け声とともに海へ入って禊をします。1978年には神奈川県指定の無形民俗文化財となり、関東三大奇祭の一つにも数えられています。始まりは、寒川神社の神輿が南湖の浜で禊をするようになったことだとされています。
早朝に始まり人出も多い祭りなので、静かに話す初回には合いません。ある程度打ち解けた相手と見物に出かけ、明るくなった浜を歩いて帰る、そんな朝の過ごし方に向いています。相手が寒川町に住んでいるなら、茅ヶ崎と寒川、二人の暮らす土地の神社から神輿がそろって浜へ下りてくる朝になります。
夏と秋、二つの花火
浜では例年8月第1土曜日にサザンビーチちがさき花火大会、10月の土曜日に茅ヶ崎サザン芸術花火が開かれます。8月の花火は海水浴場の開設期間中にあたり、10月の芸術花火は海水浴場の開設期間を終えたあとの浜で打ち上げられます。どちらも人出の多い夜の行事なので、帰りの電車や自転車の段取りを先に二人で決めておくと、終わったあとに慌てません。
仕事帰りの短い時間と、休日のまとまった時間
東海道線で都心方面へ通う相手と会えるのは、平日なら帰りの電車を降りてからの限られた時間です。平日は駅の周りで食事をして別れる程度にとどめ、遠出は休日に回すほうが長続きします。休日なら、北口からバスで里山公園へ、南口から歩いて浜へと、同じ駅を起点に一日の向きを変えられます。回を重ねるうちに、北の緑と南の海のどちらへ足が向くかで、相手の好みも少しずつ見えてきます。
東西6.9km、南北7.6kmの街で続ける付き合い
茅ヶ崎の市域は東西6.9km、南北7.6kmです。海沿いの砂丘から北のなだらかな丘陵までが、この枠の中に収まっています。同じ市内に住む二人なら、相手の家がどの地区にあっても、会う約束が遠出になることはあまりありません。
茅ヶ崎で真剣な出会いを望むなら、まずはメールアドレスで申し込み、運営側の確認を待つところからです。