北アルプスを西に望む松本平の城下町
松本盆地の中央部に位置する松本市は、西に飛騨山脈(北アルプス)、東に美ヶ原を含む筑摩山地を望む街です。上高地方面から流れ出す梓川が市の西部を通り、奈良井川が市を二分するように横切って、市街地には清流の女鳥羽川が流れています。近代的な駅の周辺から外へ向かうにつれて景色は田園や果樹園に変わり、東の里山辺を越えるとワイナリーや温泉街が現れ、その先は美ヶ原高原へと続きます。
市域は広く、その約8割を森林が占めます。合併によって上高地や乗鞍高原のある旧安曇村なども市域に加わり、城下町の中心部から山岳の景勝地までが同じ松本市です。
天守をはじめ城郭と城下町を整えたのは、石川数正とその子の康長でした。城下は外堀に沿って街道が通り、千国街道や野麦街道が分かれる交通の要衝として育っています。第二次世界大戦の戦災を免れたため歴史的な建造物が多く残り、松本城の周りでは景観条例で建物の高さが厳しく規制されています。古い町割りをそのまま歩けることが、この街で会う日の下地になっています。
街が自らを語る言葉のひとつに「三ガク都」があります。音楽の楽都、山岳の岳都、学問の学都をまとめた呼び名です。学都の看板どおり、県内唯一の国立大学である信州大学の本部が置かれ、市内のキャンパスには医学部や人文学部などがあります。松本大学や松本看護大学も市内の大学です。
駅前と城のあいだに並ぶ、性格の違う街区
中心市街地とされているのは、松本駅を中心に広がる商業地です。駅前の深志一丁目には大型店と若者向けのスポットが集まり、中央一丁目は花時計公園を核に、伊勢町のあたりまで若者向けの店や飲食店が並びます。縄手通りのある大手三丁目は、大名町を中心に銀行の支店などのオフィスが多い街区です。本町を含む中央二丁目は再開発で近代的な商店街になり、丸の内には松本城と市役所があります。
同じ中心部でも、オフィスの多い大手と、若者向けの店が集まる駅前や伊勢町とでは、平日の空気がかなり違います。仕事帰りに一時間だけ会うのか、休日の昼にゆっくり歩くのかによって、集合する街区も選び分けるのが自然です。
篠ノ井線、大糸線、上高地線とまちのバス
市内を走る鉄道は、JRの篠ノ井線と大糸線、それにアルピコ交通の上高地線(通称・松本電鉄)です。篠ノ井線で南へ向かえば塩尻、大糸線で北へ向かえば安曇野に入ります。松本駅から西へ延びる上高地線は、終点の新島々駅に着くまで松本市の外へ出ません。深志一丁目にある松本駅はJR東日本とアルピコ交通の駅で、篠ノ井線の途中駅ですが、新宿・甲府方面を結ぶ特急あずさの大半がここで始発・終着となり、名古屋・長野方面の特急しなのは全列車が停まります。
路線バスには「ぐるっとまつもとバス」があります。車なら長野自動車道の松本ICが市の玄関口です。郊外や山あいの地区に住む相手とは、駅の改札前にこだわらず、駐車しやすい場所で落ち合う段取りも考えておくと親切です。
大糸線で北へ、篠ノ井線で南へ広がる生活圏
松本平の平地は市の境を越えて続いており、塩尻市、安曇野市、山形村とは平地続きで行き来が密接です。塩尻市とは双子都市と形容されるほどの関係です。諏訪湖のある諏訪地域とは塩尻市を経由する国道や鉄道でつながっていて、松本に住みながら諏訪地域の学校や企業に通う人もいます。
安曇野の扇状地と、その北の村や町
北西で境を接する安曇野市は、梓川などがつくった複合扇状地の上にあり、扇の端にわく豊富な湧水を生かしてワサビの栽培が盛んです。安曇野で出会いの幅を広げるなら、大糸線が松本駅から乗り換えなしで市内へ入る点が頼りになり、穂高寄りに住む相手なら豊科駅の周辺が、互いに歩み寄れる待ち合わせ場所になります。篠ノ井線の明科駅や田沢駅の近くに住む人とは、松本駅で会うほうが単純です。
さらに北の松川村は安曇野の北部にあたる村で、大糸線の信濃松川駅があり、村内には安曇野ちひろ美術館があります。松本市と境は接していないものの、同じ大糸線の沿線なので、穂高駅か豊科駅を選べば、どちらも大糸線一本で来られます。
鉄道も国道も通っていないのが池田町です。町立美術館は「北アルプス展望美術館」という愛称をもち、町営バスが穂高駅や信濃松川駅、明科駅に発着しています。出会いの範囲を池田町まで広げるなら、町営バスの着く穂高駅の周辺で会う形が組みやすいはずです。
鉄道のない山形村と上高地線
市の西側で松本と接する山形村は、特産の長いもで知られる村です。村内に鉄道は走っておらず、電車を使うなら、村の北部からは上高地線の森口駅や波田駅が近くなります。山形村の相手には車かバスで出てきてもらい、波田駅か森口駅のあたりで会うのが現実的な線です。
塩尻駅から先の諏訪湖のほとり
篠ノ井線を南へたどると、松本盆地の南端にあたる塩尻市に入ります。市の南側で松本と接する街で、塩尻駅には中央東線、中央西線、篠ノ井線が集まります。松本市内の篠ノ井線は村井駅まで続き、その先が塩尻市の広丘駅です。境をはさむ村井駅か広丘駅の周りなら、どちらの側からも遠回りになりません。塩尻市からはオンデマンドバス「のるーと塩尻」が村井駅まで乗り入れているので、塩尻で出会いを探す人には電車以外の足もあります。
諏訪湖のほとりへ行くには、塩尻駅から先は中央本線の沿線をたどることになります。岡谷市は諏訪湖に面した工業都市で、特産のウナギを湖で養鰻しています。岡谷で出会いを見つけたいなら、篠ノ井線と中央本線が分かれる塩尻駅を待ち合わせの基本に据えます。
諏訪大社下社の春宮と秋宮を抱える鳥居前町が下諏訪町で、町には下諏訪温泉もあります。下諏訪町に住む相手との待ち合わせ先には、塩尻駅か岡谷駅を候補に挙げておきます。松本市と境を接していない諏訪市は、上諏訪温泉や高島城のある街で、玄関口は中央本線の上諏訪駅です。諏訪市の相手とも塩尻駅を基本に、湖の近くで過ごしたい日だけ岡谷駅まで足を延ばすとよいでしょう。
縄手通りと中町、城下町で初めて会う日
松本の出会いの場として初回に向くのは、城の周りで昔の町並みを伝える通りです。店先や町並みに目をやりながら歩けば、ぎこちない沈黙が続いても次に向かう先がすぐ見つかります。
| 待ち合わせの目印 | 合いそうな日 |
|---|---|
| 松本駅お城口 | 電車で来る相手を迎えて、城の方向へ歩き出す日 |
| 縄手通りのがまざむらい像 | 昼に短く歩いて、相手の様子を見たい日 |
| 中町通り | 休日の午後を散策にあてる日 |
| 大名町通り | 城を見に行く予定と組み合わせる日 |
| 松本市美術館の玄関横 | 雨の日や、作品を前に会話を楽しみたい日 |
| あがたの森公園 | 木々の下でのんびり歩きたい日 |
縄手通りは、明治以降に城下の南端の外堀を埋め立てて生まれた盛り場で、全面改装を経て昔の町並みを再現した商店街になっています。女鳥羽川に沿って延び、途中には四柱神社もあります。カエルをシンボルにした歩行者空間に土産物店やカフェが集まる通りなので、待ち合わせのあと店先をのぞきながら歩くだけでも間が持ちます。大名町側の入口には大手交番とがまざむらい像が立っていて、電話で場所を教えるときにも困りません。その大名町通りは城へ向かう主な道筋のひとつで、オフィスも並ぶ通りです。
中町通りは白と黒のなまこ壁の土蔵が続く通りで、伝統工芸品店やギャラリーが入っています。
松本城の天守は、安土桃山時代末期から江戸時代初期に建てられた現存天守のひとつとして国宝に指定され、城跡は国の史跡です。明治の初めには天守が競売にかけられ、市川量造ら地元の有力者の尽力で買い戻されて、解体の危機を逃れています。
観光客が増えるのは登山客の多い7月から9月です。その季節の休日は、屋内で過ごせる松本市美術館を予定に入れておくのも手です。信州ゆかりの作家の作品を常設で展示していて、玄関横には草間彌生の大型作品「幻の華」が屋外展示されています。あがたの森公園はヒマラヤスギやケヤキが植わる都市公園です。園内の木造の旧校舎は松本市あがたの森文化会館として使われている重要文化財で、1階には図書館が入り、いまもさまざまな行事の会場になっています。自然の中を歩きたい相手なら、アルプス公園や信州スカイパークという手もあります。舞台や公演が好きな人とは、まつもと市民芸術館の催しを調べてから日取りを決める方法もあり、サッカー観戦が共通の趣味ならサンプロ アルウィンで会うのも自然な流れです。
工芸の五月、ぼんぼんの夏、文化の日のお城まつり
付き合いが深まってきたら、街の暦を手がかりに次の約束を決められます。春の終わりの大きな節目が、例年5月にあがたの森公園で開かれるクラフトフェアまつもとです。声をかけるのは、その年の日取りが公表されたあとにしましょう。同じ5月には「工芸の五月」の催しもあり、松本民芸家具や松本てまりといった民芸が根づく街らしい季節になります。丸山太郎が創設した松本民芸館もあるので、フェアで手仕事に興味をもった相手となら、次に会う日の行き先として民芸館を挙げられます。
夏の中心は、例年8月の第1土曜日に開かれる松本ぼんぼんです。松本駅の東側から松本城にかけての中心街が舞台で、当日の17時から22時までは一帯が歩行者天国になります。曲はテンポが速く、振り付けは大ぶりでも難しくない踊りです。車の入らない通りを二人で歩きながら、踊る人たちを眺めて夏の夜を過ごせます。楽都と呼ばれる街の夏には、セイジ・オザワ 松本フェスティバルの開催もあります。
相手が安曇野や塩尻に住んでいる場合は、歩行者天国が終わる22時から逆算して、帰りの電車や車の段取りを先に決めておくと終盤も慌てません。松本での出会いから始まった付き合いなら、街の夏の行事を毎年の二人の恒例にしていくのもいい形です。
秋は、例年11月3日の文化の日に開かれる国宝松本城お城まつりがあります。城では夜桜会やプロジェクションマッピングといった催しも行われるので、季節ごとに同じ城を違う姿で見に行くことができます。
少し遠出をするなら、市の北東部にあって市の奥座敷といわれる浅間温泉が手近です。温泉の行事にはたいまつ祭りもあり、日程が合えば小旅行の目的にもなります。さらに足を延ばせば、梓川の上流にある上高地で、大正池から横尾まで約10km続く谷の平地を歩き、河童橋から穂高連峰を眺め、明神池まで足を運ぶ一日が過ごせます。乗鞍高原は夏の避暑、夏から秋の登山、冬のスキーで人が訪れる高原で、温泉も湧いています。東に目を移すと、美ヶ原は日本百名山のひとつに数えられる高原です。どこも山の中なので、登山ではなく散策の範囲で計画するのが安心です。
食事の店選びに迷ったら、信州そば、山賊焼、馬刺し、松本一本ねぎと、地元の味を軸に考えると外しません。松本市は「信州ワインバレー」の産地のひとつでもあるので、お酒が好きな相手なら地元のワインを選ぶのも一案です。
申し込みを済ませておけば、審査のあとメールで連絡が届きます。