県都の顔と赤城南麓の暮らし、二つの軸で読む前橋
前橋市は2009年4月に中核市となりました。市域は関東平野の北西の端にあたり、広瀬川のほかに利根川も市内を流れています。2004年12月には大胡町・宮城村・粕川村を、2009年5月には富士見村を編入し、大胡、宮城、粕川、富士見の名前はいまも地区の呼び名として残っています。中心街のそばに住む人と旧町村の地区に住む人では、日常の移動の向きが同じとは限りません。
街の成り立ちには製糸業が深く関わっています。明治時代の前橋は製糸で栄えた都市の一つで、1870年6月には前橋藩士の速水堅曹が、当時の細ヶ沢、現在の住吉町に器械製糸場を開きました。市の名所には前橋城、群馬会館、前橋市水道資料館なども挙がり、中心部を歩けば、製糸で栄えた時代から重ねてきた街の年月に触れる場面があります。温暖湿潤気候の土地なので、季節ごとの行き先は暑さと寒さを考えて選ぶことになります。
JRと上毛線、それぞれの沿線
JRの駅は、上越線の新前橋駅と群馬総社駅、両毛線の前橋駅・前橋大島駅・駒形駅です。上越線の二駅には、吾妻線へ直通する列車も発着します。上野東京ラインと湘南新宿ラインの列車も前橋駅まで乗り入れています。前橋駅は1889年11月に両毛鉄道の駅として開業し、1986年10月に高架駅になりました。
もう一本の軸が、上毛電気鉄道の上毛線です。1928年11月に開業したこの路線は、中央前橋駅から桐生市の西桐生駅まで25.4kmを結んでいます。全23駅のうち、市内には城東、三俣、片貝、上泉、赤坂、心臓血管センター、江木、大胡、樋越、北原、新屋、粕川、膳の各駅が並びます。
市内の住まいから中心部へ出る道筋も、この二本の線で分かれます。粕川駅や膳駅のそばに暮らす相手は上毛線で中央前橋駅へ、駒形駅のそばに暮らす相手は両毛線で前橋駅へ、どちらも途中で電車を替えずに中心部まで来られます。
それでも前橋は車で動く人の多い街で、公共交通の利用は減る傾向にあります。電車で来る相手の場合は、JRで着くか上毛線で着くかによって降りる駅が前橋駅と中央前橋駅に分かれるため、待ち合わせの場所もその駅に合わせて決めることになります。
荒牧と上佐鳥、大学のある町名
市内には大学がいくつもあります。群馬大学は1949年に新制大学として開学し、荒牧と昭和の二つのキャンパスを前橋市内に置き、本部は荒牧町にあります。1952年創立で1997年に大学となった上佐鳥町の前橋工科大学、小屋原町の共愛学園前橋国際大学、群馬県立県民健康科学大学、群馬医療福祉大学も市内の大学です。
広瀬川のほとりと大手町で、一度目の約束をする場所
| 場所 | 所在地・最寄り | 会い方の目安 |
|---|---|---|
| 中央前橋駅と広瀬川沿い | 城東町三丁目 | 昼に待ち合わせて川沿いを歩く |
| 臨江閣と前橋公園 | 大手町、停留所「臨江閣前」 | 明るい時間に建物と公園を回る |
| 千代田町の商店街 | 千代田町2〜5丁目 | 日中の街歩き |
| 岩神の飛石 | 昭和町三丁目の岩神稲荷神社 | 散歩の途中で立ち寄る |
中央前橋駅を出て川沿いへ
上毛線の起点である中央前橋駅では、2000年に同じ場所で建て替えられた総ガラス張りの駅舎が目に入ります。ホームの南側を広瀬川が並行して流れているため、改札を出れば川沿いの道まで遠くありません。広瀬川には親水施設が整備され、市のキャッチフレーズ「水と緑と詩のまち」を象徴する川になりました。前橋文学館と朔太郎橋もこの川沿いにあり、文学館に入ってから歩き出せば、最初の数分の会話に困りません。
かつて商業の中心だった千代田町の商店街は、大型店の多くが郊外へ移ったいまも、日中に店先をのぞきながら歩ける通りです。大きな店で用事も済ませたい日は、前橋駅の南東の文京町で2007年3月に開業したショッピングモールが使えます。
JRの前橋駅で待ち合わせるなら、2012年4月に整備を終えた北口広場が目安になり、駅前を通る県道17号にはケヤキ並木が続きます。北口の広場と並木は、この駅で初めて降りる相手にも伝えやすい目印です。
臨江閣と前橋公園で過ごす午後
臨江閣は、近代和風建築の迎賓施設です。本館と茶室は1884年、別館は1910年の建築で、三棟とも国の重要文化財です。本館は県令の楫取素彦の提言をきっかけに、前橋の企業や町民有志の募金で建てられました。
臨江閣のすぐ近くには、面積18.50haの総合公園である前橋公園が広がっています。群馬県の形をかたどった「さちの池」と、1954年11月に開設された遊園地るなぱあく(正式名称は前橋市中央児童遊園)がこの公園の中にあります。るなぱあくには高さ9mの飛行塔のように、開園のころから修理を重ねて動き続ける遊具があり、乗らずに眺めるだけでも昔の前橋の話を聞くきっかけになります。
ばら園と展望ホール、少し変わった名所
敷島公園は1922年3月の開園で、前橋市が管理する区域に門倉テクノばら園とボート池があります。ばら園は1971年に開かれ、2008年にリニューアルされました。同じ区域の前橋市蚕糸記念館は4月から11月の土日祝日だけ開くので、館内に入りたいなら週末に予定を合わせる必要があります。以前は園内にあった萩原朔太郎記念館は、すでに別の場所へ移っています。
天気が崩れそうな日は、群馬県庁が頼りになります。1999年に使い始めた庁舎の32階が展望ホールとして開放されていて、敷地には昭和庁舎も残っています。
もう一か所、話の種になるのが岩神稲荷神社です。境内の岩神の飛石は火山岩の巨岩で、丘も岩場もない住宅地にぽつんと一つだけある点が珍しいとされます。1938年からは国の天然記念物です。
大室公園と大室古墳群、総社古墳群、ぐんまフラワーパーク、赤城温泉郷も、市の名所の一覧に並ぶ場所です。初回は駅の近くで済ませ、こうした名前は二回目以降の行き先の候補として手元に残しておけます。
七夕の三日間、利根川の花火、秋の前橋まつりへ続く暦
前橋七夕まつりは、例年7月上旬の金曜日から日曜日までの3日間、中心市街地で開かれる夏の行事で、本格的な開催は1951年からです。その週末に会う約束をすれば、中心市街地を歩くだけで夕方まで過ごせます。金曜日なら仕事帰りに短く、日曜日なら昼から、と相手の都合に合わせて日を選べるのも三日間続く行事の利点です。
8月に入ると、利根川の河畔にある利根川南北河川緑地で前橋花火大会が開かれるのが例年の流れです。日程は観光協会の案内に載るので、日が決まってから誘ってください。打ち上げは夜なので、明るいうちは中心街で過ごし、暗くなる前に河畔へ移る流れにすると一日が無理なくつながります。帰りにどの駅へ歩くかを二人で決めておけば、混雑した夜でも慌てません。
秋の前橋まつりは、例年10月の土日に中心部で開かれます。1959年からこの名前で続く祭りですが、台風に見舞われた2019年と、感染症が広がった翌年には開かれませんでした。誘う前に、その秋の開催告知が出ているかを確かめてください。七夕と前橋まつりは、冬の初市まつりと合わせて前橋三大まつりに数えられています。
三つの大きな祭りのほかにも、市の行事は一年を通して続きます。例年4月下旬の前橋シティマラソン、5月5日の赤城神社例大祭、7月の大胡祇園まつり、8月の赤城山夏祭り、11月の酉の市祭と並べると、季節ごとの約束の候補がひと通りそろいます。
七夕から花火のころは前橋の暑さが厳しい季節で、真夏日も多くなります。屋外を長く歩く予定は控えめにし、広瀬川沿いの散歩は夕方へ回すなど、時間帯で行き先を分けて組み立てるのが現実的です。
赤城山への日帰りと前橋の名物
会う回数が重なってきたら、車で赤城山へ向かう日帰りも考えられます。赤城山は黒檜山などいくつもの峰の総称で、カルデラには大沼と小沼、湿原の覚満淵があります。榛名山・妙義山と並ぶ上毛三山の一つで、日本百名山にも日本百景にも数えられる山です。誘うときに行き先と一緒に出発と帰りの時刻も伝えることが、山の日帰りでは相手への気づかいになります。
食事の話題なら、焼きまんじゅうとソースカツ丼が前橋の名物として挙がり、土産物では創作こけしも名物の一つです。どちらの料理を先に食べに行くかを相手に選んでもらうのも、次の約束を決める一つの方法です。
前橋で出会いがほしいと思ったら、登録用のメールアドレスをお送りください。届いた内容を確認し、その結果はメールでお返しします。
路線バスと上越線、高崎駅、上毛線でつなぐ周辺の市町村
路線バスと上越線でつながる西と北
前橋駅を出る路線バスの前橋吉岡線は、駒寄を経由してよしおか温泉へ向かいます。その沿線にある吉岡町は前橋市の西に接する町で、前橋に通勤する人の多い住宅地として人口を伸ばしてきました。2010年3月には道の駅よしおか温泉が開業しています。吉岡町に住む相手とは、このバスの出発点である前橋駅前で会う形にすると、町から中心街まで同じバスで往復できます。
前橋西校を経由して上野田まで走る前橋榛東線も、前橋駅を起点とする路線バスで、榛東村との行き来に使えます。相手が榛東村の人なら、1989年に完成した村のしんとうふるさと公園が、村の側で会う日の行き先の一つになります。
北に接する渋川市へは、新前橋駅から上越線が延びています。そもそも新前橋駅は、1921年に上越南線が渋川まで開業したとき、両毛線との分岐駅として設けられた駅です。渋川市では利根川と吾妻川が市内の白井で合流し、市の中心にある渋川駅は伊香保温泉への入口駅の一つです。渋川で出会いの相手を探すときは、落ち合う駅として二つの路線が分かれる新前橋駅が向いています。渋川から来る相手は上越線の電車を降りるだけで、前橋駅の側から向かう両毛線の列車もすべてこの駅を通ります。
路線バスと高崎駅で行き来する県境方面の市町
前橋市に接する町のうち、玉村町へは前橋公園と新町駅を結ぶ前橋玉村線のバスが走っています。町の上之手には1980年創立の群馬県立女子大学があり、樋越神明宮の春鍬祭が2002年に国の重要無形民俗文化財となった町でもあります。玉村町で出会いを探す場合は、バスの起点の前橋公園で落ち合えば、臨江閣やさちの池をそのまま行き先にできます。
高崎市と玉村町をはさんだ先には藤岡市があります。上信越自動車道の始点を持つ市で、世界遺産の高山社跡には、1884年に設立された養蚕の研究・教育機関の社屋が残っています。養蚕にゆかりのある土地という点で、製糸で栄えた前橋と話がつながります。鉄道で会う場合、両毛線の列車は新前橋から上越線に入り、そのまま高崎駅まで走るので、藤岡の相手とは高崎駅で会うのが現実的です。
県境を越えた埼玉県の上里町は、北西部に関越自動車道の上里サービスエリアと上里スマートICを抱える町です。電車で来てもらう日は、ここでも高崎駅が乗り換えの拠点になります。
同じく埼玉県の本庄市は、中山道の本庄宿が置かれた町です。2004年3月には上越新幹線の本庄早稲田駅が開業しました。本庄市で出会いを探すなら、相手には市街地のある本庄駅から高崎線で高崎駅まで出てもらい、改札の外で会う段取りが組みやすいでしょう。
上毛線を桐生方面へ進んだ先のみどり市
中央前橋駅から上毛線を西桐生方面へ進むと、みどり市の赤城駅に着きます。上毛線で他社の路線と直接つながるのはこの赤城駅だけで、東武桐生線に乗り換えられます。みどり市は2006年3月に笠懸町・大間々町・東村が合併して生まれた市です。会う場所は同じ上毛線の大胡駅が使いやすく、中央前橋から8.3kmの地点にあって、赤城駅よりも前橋寄りに位置します。大胡駅の駅舎は併設の電車庫や変電所などとともに登録有形文化財になり、群馬県の近代化遺産にも数えられていて、待ち合わせの目印にもなります。