松並木と太鼓橋の街、一度目の約束はどこにするか
獨協大学前〈草加松原〉駅の東口側には、旧日光街道に沿った草加松原遊歩道が延びています。綾瀬川沿いに約1.5km続く松並木で、2014年3月に「おくのほそ道の風景地 草加松原」として国の名勝に指定されました。日本の道100選の一つでもあります。駅の改札で落ち合い、そのまま並木の下へ歩き出せるので、店の予約がなくても最初の一時間を過ごせます。
並木道の途中に架かる百代橋と矢立橋は、どちらも太鼓橋の形をした歩道橋です。長さは百代橋が62.5m、矢立橋が96.3mあり、松原とあわせて草加のシンボルとされています。初対面の日は、二つの橋のどちらで折り返すかを歩きながら決めれば、相手が疲れていないかを見て散歩の長さを調整できます。
綾瀬川がかつて舟運でにぎわった名残は、札場河岸公園で見られます。舟着き場の石段を復元した公園で、五角形の望楼のほか、この地を訪れた松尾芭蕉の像と、高浜虚子・正岡子規の句碑が立っています。草加と「おくのほそ道」の結びつきを知らない相手でも、像と句碑を見れば、なぜ並木道に古い紀行文の名前が付いているのか自然に伝わります。
川沿いで腰を下ろせる場所を探すなら、まつばら綾瀬川公園や、水辺とテラスがある松原団地記念公園もあります。草加市文化会館の隣には「漸草庵 百代の過客」があり、松原の周辺だけでも立ち寄り先はいくつか見つかります。草加の出会いの場として駅前だけを思い浮かべていた人にとっては、川と並木が待ち合わせの選択肢を広げてくれるはずです。
市の名所としては、旧日光街道や草加宿の町並みのほかに、草加神社や東福寺も挙げられています。並木と川辺を歩いたあとで寺社まで足を延ばすか、駅の近くへ戻って食事にするかは、その場で相手の歩き方や表情を見て決めれば十分です。
どこも屋外なので、初めて会う日は明るい時間帯に設定し、雨の予報が出たら草加駅の東口へ場所を移すと前もって相手に伝えておきます。並木道に近い獨協大学前駅から草加駅までは東武線で一駅なので、予定を変えても移動はわずかです。昼過ぎに改札で落ち合い、並木と川辺を歩いてから、日が傾く前に草加駅の周辺で別れる流れにしておけば、初対面の一日として無理のない長さに収まります。
草加駅の東と西、4つの駅でたどる暮らしの輪郭
| 駅 | 止まる電車と駅のようす | 待ち合わせでの扱い |
|---|---|---|
| 谷塚 | 1925年開業の高架駅。各駅停車だけが止まる | 市の南部に住む相手と近所で会う日に |
| 草加 | 1899年開業。急行や準急が止まり、市役所の最寄り駅 | 迷ったときの基準になる駅 |
| 獨協大学前〈草加松原〉 | 急行は止まらない | 並木を歩く予定の日に |
| 新田 | 急行は止まらない。4駅のうち新越谷寄り | 越谷側から来る相手との約束に |
草加駅の東口側は、大型の再開発ビル群がある一方で、草加宿を中心とした商店街が広がり、江戸時代の面影を残しています。西口側は閑静な住宅街です。同じ駅でも出口によって景色が違うので、初めての待ち合わせでは「東口の改札を出たところ」のように出口まで指定しておけば、互いに反対側で待つ失敗は防げます。草加宿は1630年に江戸幕府から伝馬宿として正式に認められた宿場で、地名については、綾瀬川右岸の砂地を指す「ソガ」が草加になったという説があります。
いまの市域は、1955年に草加町、谷塚町、新田村が合併してできた草加町が、1958年11月に市制を施行したものです。
市域の大部分は自然堤防の微高地と後背湿地からなる低地で、海抜は約3mです。綾瀬川のほかにも中川、古綾瀬川、伝右川、毛長川、辰井川といった川や、葛西用水路、八条用水などの水路が市内を流れています。相手が自分の住まいを駅ではなく川や用水の名前で説明することもあるので、地図を開いて一緒に確かめれば、どの辺りで暮らしている人なのかがつかめます。
獨協大学前駅の周辺は、1960年代に旧日本住宅公団が造成した松原団地(総面積約54ha)とともに育った地区です。いまはURによる建て替え(コンフォール松原)が進み、2024年5月には草加市、獨協大学、UR、鉄道会社などの5者が「WELL BIND」をコンセプトに、この一帯のまちづくり協定を結びました。西口側の獨協大学は1964年に設置された大学で、学園町はその町域全体が大学の校地になっています。
草加に住んでいる相手でも、ふだん使う駅が東武線とは限りません。市の南西部では日暮里・舎人ライナーの見沼代親水公園駅(足立区)、北東部ではJR武蔵野線の越谷レイクタウン駅(越谷市)、北西部では埼玉高速鉄道線の戸塚安行駅(川口市)が最寄りになる地域もあります。相手の住所を細かく聞く前に、使っている駅の名前だけを尋ねれば、待ち合わせ場所はほぼ決まります。
谷塚や新田の近くに住む相手なら、無理に草加駅まで出てもらわず、相手の最寄り駅の改札で会ってから一緒に移動する方法もあります。谷塚駅の周辺には商業施設もあるので、市の南部で暮らす相手とは、駅から離れずに予定を立てることもできます。
車で動く人にとっては、国道4号(草加バイパス)と東京外環自動車道、国道298号が市内の主な道路です。会う日に車を出すかどうかは、駅で落ち合うか道路沿いで落ち合うかを左右するので、日程と一緒に聞いてしまうのが手っ取り早い方法です。草加バイパスや外環の沿道で会う場合でも、初対面の日はそれぞれが自分の手段で集合場所まで来る形にしたほうが、相手が帰りの足を自分で選べます。
境を接する八潮と吉川、線路でつながる松伏・杉戸・蕨
草加駅東口のバスが行き来する八潮市
市境を接する草加と八潮は、消防を一緒に運営している間柄でもあります。2015年に草加八潮消防組合が設立され、2016年4月から業務を始めました。八潮市の施設には、中川やしおフラワーパークや中川やしお水辺の楽校があります。
鉄道で見ると、八潮市内を通るのはつくばエクスプレスで、東武線とは線路がつながっていません。その代わり、草加駅東口からは八潮駅方面へ向かう路線バスが何系統も出ています。八潮で出会いを求める場合、相手がバス通りの近くに住んでいれば、草加駅東口のバス乗り場の前を集合場所にでき、片方だけが電車を何本も乗り継ぐ形にはなりません。
新越谷で武蔵野線に乗り継ぐ吉川市と松伏町
吉川市も草加市と境を接していますが、市内を走るのはJR武蔵野線で、草加市内には武蔵野線の駅がありません。吉川での出会いを考えるときに覚えておきたいのは、二つの路線が出合う新越谷駅です。新越谷は東武線で草加の次の急行停車駅で、改札を出るとJR武蔵野線の南越谷駅まで屋根のある地上の連絡通路が続いているため、空模様が怪しい日でも集合場所を動かさずに会えます。草加側が市の北東部に住み、越谷レイクタウン駅を使っている場合は、東武線を経由せず、武蔵野線だけで吉川側と行き来できます。
松伏町は越谷市や吉川市の先にある町で、草加市とは接していません。草加、八潮、越谷、三郷、吉川、松伏の各市町は「埼玉県東南部都市連絡調整会議」の枠組みで、公共施設の相互利用や図書館の広域利用を進めてきました。松伏の相手と会うときは、東武線の越谷駅まで出てきてもらうと、草加からは乗り換えなしで向かえます。
東武線一本で北へ、杉戸町
杉戸で出会いを見つけたい人にとって、草加から杉戸まで東武スカイツリーラインで乗り換えずに行けるのは大きな利点です。杉戸町の最寄り駅になる東武動物公園駅は、駅そのものは宮代町にありますが、開業したときは「杉戸駅」という名前でした。会う場所も同じ線の上で決められます。草加寄りの越谷駅にするか、杉戸寄りの春日部駅にするかは、その日の行き先しだいです。
草加駅西口からバスで川口へ、その先の蕨市
草加市と境を接していない蕨市へは、草加駅の西口が出発点になります。西口からは国際興業バスの川口駅行きが発着していて、市内を走る国際興業バスの路線はどれも西口の発着です。乗る前に東口の乗り場と取り違えないようにしてください。バスを降りた川口駅から京浜東北線で西川口の次が蕨駅なので、蕨に住む相手には二駅だけ電車に乗ってもらい、川口駅の改札で落ち合えば、どちらも乗り換えのない移動で会えます。
宿場の祭りと並木道で、二度目からの時間を重ねていく
初めて歩いた松並木には、秋にもう一度戻ってくる理由があります。草加ふささら祭りは例年10月に開かれ、まつばら綾瀬川公園や草加松原遊歩道が会場になります。ステージやパレード、模擬店が並ぶ日なので、ふだん二人で歩いた並木道が人でにぎわう様子を見られます。
夏の予定には、例年7月に開かれる草加朝顔市があります。旧日光街道沿いから草加駅東口の周辺にかけては草加宿場まつりが開かれ、大名行列が街道を進みます。宿場まつりに誘うなら、草加市の行事予定で今年の開催日を確かめてから声をかけてください。
二度目に会う日は、初回とは別の側を歩くと変化がつきます。一度目が草加松原の並木だったなら、次は草加駅の東口で待ち合わせて、前回とは反対の方向から街に入ると、同じ草加でも別の一日になります。
並木道そのものも行事の舞台です。例年3月には草加松原太鼓橋ロードレース大会が開かれ、8月には松並木ラジオ体操の集いが行われてきました。草加よさこいサンバフェスティバルも年間の行事に数えられていますが、開催月は近年動いているので、市の告知が出てから予定に入れます。
春ならそうか公園の桜があり、例年3月には草加さくら祭りがあります。草加市民納涼大花火大会が開かれる年の夏は、そうか公園がその会場になります。秋が深まる例年11月には、市の行事として国際ハープフェスティバルも組まれています。草加での出会いがまだ恋活の段階にあるうちは、祭りや行事が会う口実になり、婚活へ進んでからは、相手が地元の行事をどう楽しむ人なのかを知る機会になります。
付き合いが長くなれば、二人で住む街を決める場面も来ます。草加駅の周辺は都心まで約15km、南部の谷塚は約10kmの位置にあります。東武線は日比谷線や半蔵門線と直通運転をしていて、半蔵門線と東急田園都市線への直通は2003年に始まりました。都内の沿線に勤めている相手なら、乗り換えなしで草加まで来られる電車があることも、住む場所を考えるときの材料になります。
朝顔市へ浴衣で出かける夏があれば、市域の南部で幕末から晒や浴衣の染めが栄えていたことを思い出してみてください。1935年ごろからは皮革業も集まり、いまも製靴や鞄づくりなどの皮革加工業が市内に点在しています。宿場町の名残とは別に、ものづくりの街としての顔もあることは、草加をよく知らない相手との話の糸口になります。
相手の実家へあいさつに行く日が来たら、手土産には草加せんべいが考えられます。醤油味をベースにした丸い素朴な米菓で、「草加煎餅」は地域団体商標です。1970年ごろには市内に約120の店があり、いまも旧草加宿を中心に約60店が残っています。東京に隣接する土地柄から東京みやげとして扱われることも多い品です。市内には草加せんべい発祥の地の碑や草加せんべいの庭もあり、せんべいが街の歴史の一部として受け継がれていることが分かります。
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