京王の駅だけが並ぶ調布の日常
1955年に調布町と神代町が合併して生まれた調布市は、多摩地域の東部にあり、23区と境を接する五つの市のひとつです。京王線には市内に仙川、つつじヶ丘、柴崎、国領、布田、調布、西調布、飛田給の八駅があり、調布駅で分かれる京王相模原線は市内では京王多摩川駅まで続きます。
駅前の景色が大きく変わったのは2012年8月です。国領、布田、調布の三駅が地下に移り、18か所の踏切がなくなりました。事業全体は2014年度に完了しました。2017年には地下駅となった調布駅の地上部分に駅ビル「トリエ京王調布」が開業しています。初めて会う日は、店の名前ではなくこの建物の名前で集合場所を伝えると、地上に出てきた相手も迷わずにたどり着けます。
北口の側には、布多天神社の参道にあたる天神通り商店街が延びています。北口の商業地区の一部をなす通りで、近年は鬼太郎をはじめ、水木しげるの描いた妖怪キャラクターのモニュメントが造られました。水木しげるは市内に50年以上暮らし、2008年に名誉市民に選ばれた漫画家です。市のミニバスも2003年から『ゲゲゲの鬼太郎』のラッピングをまとい、「鬼太郎バス」と呼ばれています。
暮らしの面から見ると、調布は昼より夜に人が多い住宅都市です。通勤や通学で市の外へ出ていく人のほうが、外から入ってくる人より多く、世田谷区の成城と接する閑静な住宅街としても知られています。古くからの寺社や武蔵野の自然が残る街で、23区に隣接する便利さと穏やかな暮らしが同じ市内に並んでいます。週末の約束なら、行き先は市内の緑の多い場所から探すと、この街の落ち着いた面を二人で味わえます。
市内にはいくつかの大学が校舎を構えています。仙川駅は音楽学部の単科大学である桐朋学園大学の最寄り駅です。桐朋学園大学のある若葉町には、2021年に音楽ホール「桐朋学園宗次ホール」が開場しました。調布駅北口には国立の電気通信大学があり、学園祭は「調布祭」の名で開かれています。音楽の好きな相手となら、宗次ホールの公演予定を調べて、演奏会を二度目の約束にできます。
市の南部は、昭和10年代から30年代にかけて映画の街として栄え、「東洋のハリウッド」と呼ばれた土地です。多摩川の角川大映スタジオや染地の日活調布撮影所はいまも活動を続け、市も「映画のまち調布」を掲げています。映画好きの相手と過ごす日は、市の映画の行事を目安にして日取りを決める方法があります。
地形は武蔵野台地と多摩川低地からなり、その間をおよそ12mの高低差がある国分寺崖線が通っています。東西には国道20号の甲州街道が市を横切り、1964年開催の東京五輪ではこの道がマラソンのコースになりました。
寺と川と芝生、調布の初対面に向く場所
初めて会う場所は、駅からの離れ具合を物差しにすると絞り込めます。調布駅や仙川駅のまわりで短く会うのか、バスに乗って深大寺まで足を延ばすのか、飛田給で降りて広い公園を歩くのかで、半日の使い方はかなり違ってきます。マッチングアプリなどでまだメッセージしか交わしていない段階なら、行きも帰りも相手が自分で足を選べる場所にしておくほうが、誘いに応じてもらいやすいはずです。
| 場所 | 所在と交通 | 半日の楽しみ方 |
|---|---|---|
| 深大寺とその周辺 | 調布駅北口からバス | 参拝のあとに深大寺そばの昼食 |
| 神代植物公園 | 深大寺の隣(旧寺領) | バラ園と大温室をめぐる |
| 野川の両岸 | 市を北西から南東へ縦断する川 | 川沿いの道を短く歩く |
| 布多天神社 | 天神通り商店街の先 | 月例祭の日に参拝する |
| 味の素スタジアムと武蔵野の森公園 | 飛田給駅から徒歩約5分、約500m(スタジアム) | 試合の観戦か公園の散歩 |
深大寺は天平5年(733年)の創建とされる天台宗の寺で、山号を浮岳山といいます。都内では浅草寺に次ぐ古刹とされ、寺に伝わる白鳳期の銅造釈迦如来倚像は、2017年から国宝に名を連ねています。名物の深大寺そばは江戸名所図会にも記されていて、かつてはそばの栽培からそば打ち、釜茹で、晒しまで湧水が使われていたといいます。初対面なら昼前に着いて参拝を済ませ、そのまま昼食に移る流れにすると、半日のうちに無理なく収まります。
深大寺へ向かう日は、調布駅北口で待ち合わせて同じバスに乗るところから一緒に過ごすと、現地で相手を探す手間がかかりません。参拝と昼食のあとに神代植物公園へ回るか、そこで切り上げてバスで駅へ戻るかは、その日の会話の弾み方で決められます。駅に戻ってからトリエ京王調布や北口の商業地区で少し休み、そこで解散する形もとれるので、初回の終わり方に幅が出ます。
深大寺の旧寺領にある神代植物公園は、もともと東京の街路樹などを育てる苗圃でした。1961年に今の名前で開園した都立の公園で、バラ園のほかに大温室があります。空模様が怪しい日は温室を中心に回る計画に切り替えられるので、天気予報が読みにくい季節の初回に向いています。入園料や開園時間は変わることもあるので、行く日の前に公式の情報に目を通しておきます。
野川は市を北西から南東へ流れ、両岸がサイクリングロードとして整えられています。護岸には土が多く残され、生き物に配慮したつくりの川です。初めて会う日に長く歩くと会話より疲れが先に来るので、川沿いを少し歩いたら引き返す程度の道のりで十分です。
多摩川は市の南の端を東西に流れ、神奈川県との境をなしています。北岸には市内全域にわたってサイクリングロードが続き、対岸の一部は川崎市多摩区です。市内で多摩川を渡る多摩川原橋には歩行者と自転車の道が併設されているので、橋の上まで歩いて川の広がりを眺めることもできます。野川の細い流れとは違う、開けた景色を見たい日に向く川です。
飛田給駅の近くにある味の素スタジアムは、米軍から返還された関東村の跡地の一部に整備され、2001年に東京スタジアムとして使われ始めました。2003年からは命名権によって今の名前になり、FC東京と東京ヴェルディがホームにしています。2019年のラグビーW杯でも、試合の会場として使われました。北東側には武蔵野の森公園が広がり、2017年には武蔵野の森総合スポーツプラザも開業しています。応援するチームが同じなら観戦を、試合に興味のない相手なら公園の散歩を、と相手に合わせて使い分けられる場所です。
布多天神社は延喜式内社で、毎月25日の月例祭には三番叟などの里神楽が奉納され、境内に市が立ちます。25日が休日に重なる月なら、駅から天神通りを歩いて市をのぞく昼の約束にちょうど合います。国領の國領神社は、境内にある藤の大木「千年乃藤」で知られる神社です。
バスと公園で結ばれる狛江市と三鷹市
国領駅と小田急線の狛江駅のあいだ
小田急線の狛江駅がある狛江市とは、大学の敷地でもつながっています。東京慈恵会医科大学の国領キャンパスは調布市国領町と狛江市にまたがり、最寄りは京王線の国領駅です。狛江は古墳の多い土地でもあり、5世紀半ばから6世紀半ばまでの約100年間に亀塚古墳や兜塚古墳などが造られ、「狛江古墳群」と呼ばれています。現存する古墳の一部は公園になり、見学できます。
狛江駅と国領駅の間は南北をバスが結び、調布駅の北口と南口からも狛江駅方面へのバスが出ています。狛江市の北部からは仙川、つつじヶ丘、柴崎、国領の各駅も使えるので、狛江で出会いを探しているなら、京王線の駅まで目を向けると会える場所がぐっと広がります。最初の約束は国領駅に決めておけば、相手は電車でもバスでも来られます。
野川公園の芝生を目印に三鷹市と
三鷹市は「緑と水の公園都市」を掲げる市で、市街地はJR中央線の三鷹駅を中心に広がっています。調布市とは都立野川公園を分け合っていて、園地は三鷹市、小金井市、調布市の三市にまたがっています。1980年に開園した公園で、国際基督教大学のゴルフ場だった土地に「大芝生」が広がります。三鷹側に住む相手と週末の昼に会うなら、二人の市にまたがるこの芝生を目指して、それぞれの家から向かう約束が組めます。
縁結びの言い伝えが残る街で季節の予定を立てる
深大寺という名は深沙大王という神に由来するとされ、その深沙大王にまつわる縁結びの物語が伝わっています。市はこの話にちなんで、短編恋愛小説「深大寺恋物語」の公募を行ってきました。言い伝えが婚活の成果を約束してくれるわけではありませんが、付き合いを考え始めた相手と改めて訪ねる理由としては、いかにも調布らしいものです。
深大寺の行事のうち、日付まで決まっているのはだるま市で、毎年3月3日と4日に開かれます。鬼燈(ほおずき)まつりは例年7月に深大寺界隈で行われます。その間の例年6月には、調布市深大寺自然広場の野草園でホタル観賞会があります。春は野川の両岸に桜が咲き、花見の人で川沿いがにぎわうため、静かに歩きたい二人は朝のうちに出かけるくらいがちょうどよい時期です。
季節の行事に誘うときは、気候も計算に入れておきます。調布は内陸性の気候で、隣の府中市とほぼ同じです。23区と比べると夏は暑く猛暑日が多いため、鬼燈まつりのような夏の行事は日差しの和らぐ夕方に合わせ、昼は屋根のある場所で休む段取りにすると、二人とも消耗しません。冬は最低気温が低く、2月中旬までは冬日が多いので、寒さの残る時期の外出は短めに切り上げます。
秋は布多天神社の例大祭で、例年9月に神輿渡御があります。月例祭の市で一度訪ねた神社に、祭りの日にもう一度足を運ぶと、同じ参道でも違う顔に出会えます。
調布市花火大会は、多摩川の河川敷、京王相模原線の鉄橋の近くで開かれ、会場は京王多摩川会場と布田・国領会場に分かれます。京王多摩川駅から会場までは歩いて約7分です。開かれる月が決まっていない花火大会で、夏の行事のつもりでいると外れる年もあるため、誘う前に市の公式発表で日付を確かめておきます。
季節ごとの行き先に迷ったら、市制30周年を記念して選ばれた「ちょうふ八景」をたどる手があります。「深大寺と神代植物公園」「布多天神と市」「四季の多摩川と花火」「近藤勇の史跡と野川公園」「実篤公園と記念館」などが並び、初回に訪ねた場所の多くもこの中に入っています。新選組局長の近藤勇の生誕地も市内にあり、歴史の好きな相手となら、八景を一つずつ回る計画を二人で立てられます。
冬には「映画のまち調布 シネマフェスティバル」が毎年2月頃に開かれ、映画の好みが合う相手と寒い時期に出かける先として覚えておけます。調布駅前では2014年から「ちょうふグローバルフェスタ」も開かれ、調布国際音楽祭も2013年に新しい形で再出発しました。水木しげるの命日にちなむ「ゲゲゲ忌」の追悼イベントも毎年行われていて、天神通りのモニュメントを一緒に眺めた相手となら、次の約束の候補に入れられます。
調布で出会いをつかみ、付き合いが続いたあとの外出では、京王の二本の線のどちらに乗るかで行き先までの手間が変わります。相手が仙川寄りに住んでいれば京王線、京王多摩川駅の近くなら相模原線がふだんの足になり、二本の線は調布駅で分かれます。花火大会の会場に近い京王多摩川駅は相模原線、味の素スタジアムのある飛田給駅は京王線の駅なので、相手の使う線の上にある場所を先に選ぶと、帰り道が分かりやすくなります。
相手探しはメールアドレスの登録から入り、内容の確認が済んだあとに届くメールを待つ流れです。