路線ごとに生活圏が分かれる下町
葛飾区の鉄道は、北と南と中央をそれぞれ別の路線が受け持つ形です。北側をJR常磐線各駅停車が走って亀有駅と金町駅があり、南の端には総武線の新小岩駅があります。その間を京成本線と京成押上線が通り、柴又へは京成金町線が延びています。同じ区に住んでいても、使う駅が違えば買い物に行く街も飲みに行く街も別になりがちです。
常磐線沿いの亀有と金町
亀有は漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の舞台です。かつての工場地帯が住宅と商業の街に変わり、駅前には大型の商業施設と昔ながらの商店街が並んでいます。
金町は区の最北端の駅で、駅の北側に東京理科大学葛飾キャンパスと商業施設、南側に区立中央図書館が入る41階建ての複合ビルがあります。理科大のキャンパスは2013年に開設され、複合ビルは2009年に完成しました。区内には東京聖栄大学もあります。常磐線各駅停車は東京メトロ千代田線に直通しているので、亀有と金町からは乗り換えなしで都心方面へ出られます。
総武線の新小岩
新小岩駅には総武線の快速と各駅停車がどちらも停まります。高架の線路で街がほぼ南北に分かれていましたが、2018年に南北自由通路ができ、2023年10月には南口に駅ビルが開業しました。快速で隣の駅は錦糸町と市川なので、東京の中心部へも千葉県側へも一本で出られる位置にあります。
京成線沿いの立石、青砥、四つ木
京成本線の区内の駅は、西から堀切菖蒲園、お花茶屋、青砥、京成高砂の四つです。京成押上線は四ツ木と京成立石を通って青砥で本線とつながり、反対側は押上から都営浅草線、さらに京急線方面へ直通しています。青砥は二つの路線が乗り入れる駅なので、京成沿線どうしで会うときの基準にしやすい駅です。
立石は区役所のある地区です。京成立石駅の周辺は安い居酒屋が集まる街として知られてきましたが、駅北口の再開発で多くの店が閉店や移転をしました。区役所の新庁舎はこの再開発ビルへ移る予定で、駅付近では線路の高架化工事も続いています。以前の評判だけで店を決めると当てが外れることがあるので、今の街の様子を確かめてから案内したほうが確実です。
荒川の東岸にある四つ木は、国道6号(水戸街道)が通り、首都高の出入口もある地区です。車で動く人にとっては、区の西側の出入り口にあたります。
まずは相手の路線を聞く
亀有と新小岩はどちらもJRの駅ですが、路線が違うため、区内で会うにもどこかで乗り換えるかバスを使うことになります。葛飾の出会いでは、メッセージの段階で相手が使う駅と線を確かめておくと、二人の動線が重なる駅を選べます。
初めて会うなら昼の柴又か水辺の公園
初回に向く場所を、降りる駅と過ごし方と一緒に並べました。
| 行き先 | 降りる駅 | 会ってからの過ごし方 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|---|
| 柴又帝釈天と参道 | 京成柴又駅 | 参道の商店をのぞきながら歩き、二天門をくぐって境内まで足を延ばす | 「葛飾柴又の文化的景観」は2018年に国の重要文化的景観に選ばれている |
| 山本亭 | 京成柴又駅 | 大正から昭和初期の和洋折衷の住宅を見学し、喫茶でひと息つく | 書院庭園は2003年以降、米国の日本庭園専門誌のランキングで上位に入っている |
| 水元公園 | 金町駅からバス | 広い園内をゆっくり歩く | 23区でも屈指の広さを持つ都立公園 |
| 堀切菖蒲園 | 京成堀切菖蒲園駅 | 江戸系を中心にしたハナショウブの庭を一周する | 歌川広重の『名所江戸百景』にも描かれた区立の庭園 |
| 亀有駅周辺 | 亀有駅 | 駅のまわりに点在する両さん像を探しながら歩く | 主人公の両津勘吉などの銅像で、2006年から順に設置されてきた |
| 四つ木 | 四ツ木駅 | 四つ木つばさ公園などで『キャプテン翼』の像を見て回る | 漫画好き同士なら亀有と組み合わせても話がつながる |
柴又は、参道と寺、庭園が歩いて回れる範囲にまとまっています。見るものが次々に出てくるので、初対面でも会話のきっかけに困りにくい街です。帝釈天までは京成柴又駅から歩いて4分ほどで、駅を出るとすぐに参道の商店が続きます。明るいうちに待ち合わせ、参道から境内、山本亭へと歩く流れにすると、無理に店を探す必要もありません。山本亭は1991年から区が一般に公開している建物で、座って休める場所が散歩の終わりにあるのは心強い点です。京成柴又駅は京成高砂と京成金町を結ぶ金町線の途中にあり、この線は全線が区内に収まっています。北総線の新柴又駅からも柴又地区へ歩けます。常磐線沿いに住む相手なら、金町駅から柴又方面へ出るバスも使えます。
境内では、寺の由来を少し知っておくと話題が増えます。柴又帝釈天の正式名は経栄山題経寺という日蓮宗の寺で、1629年の創建です。参道から境内に入るときにくぐる二天門は1896年に建てられたもので、ここで一度足を止めて眺めておくと、奥の建物との時代の違いも話の種になります。帝釈堂には法華経の説話を題材にした木彫があり、1922年から1934年にかけて彫られました。池泉式の庭園「邃渓園」は東京都の名勝に指定されていて、木彫と庭園を見てから参道に戻ると、ちょうどよい長さの散歩になります。
水元公園や堀切菖蒲園のような屋外の場所は、天気に左右されます。東京の夏は暑く湿度も高いので、7月から8月に公園で会うなら朝のうちか夕方に時間をずらすほうが楽です。春や秋の晴れた日なら、長く歩いても疲れにくいはずです。
菖蒲まつりと納涼花火を二人の予定に入れる
マッチングアプリがきっかけの相手でも、友人を通じて紹介された相手でも、付き合いを真剣に考えるなら、一度きりの食事で終わらせず、季節ごとに一緒に出かける予定を重ねるほうが、お互いを知る機会が増えます。葛飾はその材料が多い区です。
春と6月は花の季節
水元公園には桜があり、春は花見を兼ねて歩けます。園内にはメタセコイアの森やハナショウブもあるので、初回を別の場所で済ませた相手と、二度目に落ち着いて話す場所として使えます。1965年に開園した都立公園で、小合溜に沿って水辺が続きます。金町駅から歩くと20分ほどかかるため、行きはバスに乗り、帰りは話しながら駅まで歩くといったように、相手の靴や体力に合わせて歩く距離を調整できます。
6月は葛飾菖蒲まつりの時期で、堀切菖蒲園のハナショウブが見頃を迎えます。堀切のまつりは6月初旬から20日ごろまでが目安で、花の見頃は6月中旬とされています。庭園は京成堀切菖蒲園駅から歩いて10分ほどで、1975年に葛飾区へ移管されました。入園料はかからないので、混み具合を見て早めに切り上げ、別の場所へ移るのも気軽です。梅雨と重なるので、傘をさして歩くことを前提に予定を組んでおくと、小雨で中止にせずに済みます。
7月下旬の花火と正月の柴又
葛飾納涼花火大会は例年7月下旬、江戸川河川敷の柴又野球場で開かれます。1953年に始まった花火大会で、打ち上げ場所と観客の距離が近いことで知られています。会場までは京成柴又駅から歩いて10分ほどです。夏の花火の日と正月の初詣の時期は柴又に人が集まるので、駅の改札で落ち合うより、少し離れた目印を事前に決めておくと合流で迷いません。
区の外へ出る日もつくる
付き合いが長くなったら、ずっと地元で会う必要はありません。京成本線なら乗り換えなしで日暮里や京成上野まで出られるので、三度目あたりで景色を変えるのもいい方法です。住まいが区の北と南に分かれている二人なら、今回は亀有、次は新小岩というふうに会う駅を順番に替えていけば、毎回同じ人ばかりが長く電車に乗ることもなくなります。
仕事で忙しい社会人同士なら、平日の夜は相手が帰りに通る駅のそばで短めに会い、ゆっくり歩くのは週末の柴又や公園に回す、という分け方もできます。会う頻度を無理に上げるより、続けられるペースを二人で決めるほうが真剣な付き合いには向いていて、これは恋活のうちも、結婚を見すえた婚活に進んでからも変わりません。
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区境の向こうに住む相手と会うなら
葛飾区は埼玉県と千葉県に接しています。区の外側に住む相手とは、路線ごとに次のような駅や場所で待ち合わせると動きやすくなります。
つくばエクスプレスが通る八潮方面
埼玉県の八潮市は、葛飾区のほか草加市や三郷市とも接する市で、小松菜や枝豆などを特産の野菜に指定しています。市内には中川や垳川といった水路も流れています。長いあいだ市内に鉄道の駅はなく、八潮駅(つくばエクスプレス)が開業したのは2005年です。駅の開業を境に、街の様子は大きく変わりました。八潮駅の南口からは亀有駅行きと金町駅行きの路線バスが出ています。八潮で出会いを探すなら、亀有駅と金町駅の二つが落ち合う駅の目安です。八潮駅の近くに住む相手なら、どちらの駅へもバス一本で来られます。電車を使うなら、八潮駅から快速でひと駅の北千住(足立区)で落ち合う手もあります。
江戸川と中川にはさまれた三郷方面
三郷市は東を江戸川、西を中川にはさまれた埼玉県の市で、JR武蔵野線の三郷駅・新三郷駅と、つくばエクスプレスの三郷中央駅があります。新三郷の周辺には大型の商業施設が集まり、市内には県営のみさと公園もあります。水元公園の水辺である小合溜は埼玉県との境になっていて、対岸はもう埼玉県です。ただ、三郷側から公園へどう来るかは相手の住まいによって違うので、待ち合わせは金町駅にして、そこから二人でバスか徒歩で水元公園へ向かうと段取りが単純になります。
荒川をはさんだ西側
荒川の対岸は墨田区で、四ツ木橋が両岸を結んでいます。京成押上線を使えば、四ツ木駅や京成立石駅から押上駅まで乗り換えなしで行けるので、墨田区側の相手とは押上で会うのが手軽です。押上線は墨田区内で八広駅と京成曳舟駅にも停まるので、相手の住まいによってはその手前の駅で落ち合うこともできます。常磐線では亀有の隣が綾瀬駅で、二つの駅のあいだは2.2kmほどです。足立区側に住む相手とは、この綾瀬駅が待ち合わせの目安になります。京成本線でも、堀切菖蒲園駅の隣の京成関屋駅から先は区の外です。
南東に広がる江戸川区側
京成本線で京成高砂の次の駅は京成小岩で、ここから先は江戸川区です。新小岩駅の南口側は江戸川区役所の方面にも近いため、そちら側に住む相手とは、新小岩駅か京成小岩駅のどちらか、相手の路線に合うほうで待ち合わせると移動が短く済みます。