四つの旧町が並ぶ、東西に長い荒川区の日常
荒川区は東西に細長い区で、もとは南千住町・三河島町・尾久町・日暮里町という四つの町でした。いまの町名は南千住、荒川、町屋、東尾久、西尾久、東日暮里、西日暮里の七つしかなく、相手が町名を一つ口にするだけで、区内の東寄りか西寄りかまで見当がつきます。
土地はほとんどが平らな低地で、日暮里地区の一部だけが山手台地にかかります。江戸時代は農村でしたが、明治になると川の水を使う工場が建ち、工業の町へと姿を変えました。東尾久と西尾久を合わせた尾久には、町工場と商店街と住宅が入り混じる下町の空気がいまも濃く漂っています。
いっぽう工場の跡地は、再開発や公園整備で別の顔を見せ始めています。南千住の旧汐入地区は、再開発で高層マンションや商業施設が建ち、南千住地区ではマンション暮らしの家族連れが増えています。南千住そのものの起こりは、日光街道の宿場だった千住宿の南側、南宿と呼ばれた一帯です。宿場町として始まった地区にいまは高層住宅が並んでいるところに、この区の変わり方がよく表れています。
日暮里の駅前も再開発で姿を変えました。台地にかかる寺町、都電の走る尾久の下町、川沿いに高層住宅が並ぶ南千住と、同じ区の中に性格のかなり違う三つの地区が並んでいます。
地区ごとに違う乗り入れ路線
区の西寄りにある日暮里駅にはJRの山手線・京浜東北線・常磐線と京成本線、日暮里・舎人ライナーが集まり、西日暮里駅ではJRの山手線・京浜東北線に東京メトロ千代田線と舎人ライナーが加わります。区の中ほどの町屋は千代田線と京成本線、それに都電の停留場がそろう乗り換えの拠点です。東側の南千住駅にはJR常磐線、東京メトロ日比谷線、つくばエクスプレスが乗り入れます。
鉄道の駅から離れた町を細かく結んでいるのが都電です。旧三河島にあたる荒川の町には荒川区役所前、荒川二丁目、荒川七丁目といった停留場が並び、京成の町屋駅と都電の町屋駅前停留場も、所在地でいえば荒川七丁目にあります。
日暮里寄りと南千住寄りでは、ふだん使う駅が一つも重ならない場合さえあります。マッチングアプリで気の合った相手が区の反対の端に住んでいると分かったら、区の中ほどにある町屋を最初の合流点として提案すると、相手も路線図を見ながら判断できます。
芝生と堤防と寺町、荒川区で二人が歩ける場所
荒川で出会いを探す人が初回の行き先に迷ったときは、工場跡や川べりを生かした公園と、日暮里側の坂道が手がかりになります。どこも駅や停留場から歩いて行けます。
| 場所 | 降りる駅・停留場 | こんな日に |
|---|---|---|
| 汐入公園(南千住八丁目) | 南千住駅 | 川風に当たりながら長めに歩きたい日 |
| 尾久の原公園(東尾久・町屋) | 熊野前 | 芝生に座って話したい日 |
| 荒川自然公園(荒川) | 都電の荒川二丁目 | 池のまわりを短く一周したい日 |
| あらかわ遊園(西尾久) | 都電の荒川遊園地前 | 観覧車など乗り物も楽しみたい日 |
| 西日暮里三丁目の寺町と諏方神社 | 西日暮里駅 | 坂道を静かに散歩したい日 |
| 日暮里駅東側の繊維問屋街 | 日暮里駅 | 布や小物の店を見て回りたい日 |
隅田川に面した汐入公園
南千住八丁目の汐入公園は、工場跡地を生まれ変わらせた白鬚西地区の再開発で整備された都立公園です。隅田川に沿って周囲約1kmのスーパー堤防が延びて、散策路やサイクリングロードとして使われています。川べりには隅田川テラスと展望広場があり、園内にはハーブガーデンもあります。南千住駅のほか京成本線の京成関屋駅からも歩いて行けるので、京成の沿線から来る相手との待ち合わせにも向いています。対岸の東白鬚公園とあわせて計画された公園で、千住汐入大橋が架かってからは、足立区と荒川区と葛飾区を結ぶ結び目の位置にもなりました。黙って並ぶ時間ができても、川沿いの道なら居心地の悪さは感じにくいはずです。堤防の道は自転車も通るので、並んで歩くときは端に寄っておくと落ち着いて話せます。
尾久の原公園と荒川自然公園
東尾久と町屋にまたがる尾久の原公園は、工場の跡地の東側に開かれた都立公園で、西隣には東京都立大学の荒川キャンパスがあります。芝生の広場と湿地と池がそろい、駐車場はないので、熊野前から歩いて向かうつもりで計画を立てます。
荒川自然公園は、三河島水再生センターの上部につくられた区立公園です。白鳥の池や昆虫観察の場、子ども向けの交通園があり、都電の荒川二丁目停留場を降りてすぐの場所にあります。池を一周して停留場へ戻るくらいの短い散歩で切り上げられるので、まだ長い時間を約束しにくい初回にも使えます。
西尾久のあらかわ遊園
区が運営するあらかわ遊園は、西尾久の隅田川沿いにある遊園地です。観覧車やファミリーコースター、どうぶつ広場、水遊びの場がそろっています。敷地には東京水辺ラインの荒川遊園発着場もありますが、船の便は時期によって変わりうるので、予定に入れるなら前もって運航状況を調べておきます。観覧車に二人で乗ると、向かい合って話す時間が自然にできます。同じ西尾久には尾久八幡神社もあり、遊園地を出てから町なかを少し歩く予定も立てられます。
日暮里の坂と寺町、駅の東側の問屋街
西日暮里の山手線より西側は台地へのぼる傾斜地で、西日暮里三丁目は町域の大半を寺社が占める寺町です。日暮里駅の西側は谷根千と呼ばれる観光地の一角にもなっています。日暮里の字は、一日いても飽きない「日暮らしの里」という意味を重ねた当て字とされます。
駅の東側には繊維問屋街があり、服地や織物、服飾小物、既製服を扱う店が集まっています。一般の客にも小売りをしているので、手芸や服づくりが趣味の相手なら、待ち合わせのあとに二人で店先をのぞいて回れます。
半日で回るなら、地区ごとの組み合わせ
日暮里側で会う日は、駅の東側の問屋街を少し歩いてから線路の西へ移り、西日暮里三丁目の寺町と諏方神社の境内をたどる順番が組めます。人通りのある通りから静かな坂道へと、歩くうちに町の様子が切り替わります。
町屋・尾久側なら、町屋で落ち合って都電に乗り、熊野前で降りて尾久の原公園の芝生へ向かう流れです。時間に余裕があれば、そのまま荒川遊園地前まで乗り継いで観覧車に寄ることもできます。
南千住側は、駅から汐入公園まで歩き、堤防の上を川に沿って回ってから駅へ戻るだけで、初回でも無理のない距離を歩けます。高層マンションが並ぶ町並みと川の眺めが一度に見られるのも、この地区ならではです。
雨の日と日差しの強い日
ここに挙げた場所の多くは屋根のない公園や坂道です。雨の予報が出た日や日差しの強い日は、川沿いの散歩を無理に通さず、路線の集まる日暮里や町屋の駅前で短く会い、公園は次の晴れた日に回すほうが二人とも疲れずに済みます。都電の車内から沿線の町並みを眺めて過ごし、気に入った停留場で降りてみる程度の軽い予定に切り替えるのも一案です。
都電のバラと諏方神社の夏、二度目からの荒川区
交際が続き始めたら、区内を横切る都電荒川線(東京さくらトラム)が予定づくりの軸になります。始発の三ノ輪橋停留場は南千住一丁目にあり、日光街道からはビルの中を通り抜けて乗り場に入るつくりで、関東の駅百選にも選ばれました。
沿線では荒川区が長年バラを植えてきたので、春と秋には線路わきが色づきます。例年5月には町屋駅前で「あらかわバラの市」が開かれ、バラの苗の販売や育て方の講習会、地元の商店街によるバラにちなんだ品の販売があります。誘うのは、5月のいつ開かれるかを区の告知で確かめてからにします。荒川車庫前停留場のそばには、古い車両を並べた都電おもいで広場もあります。
三ノ輪橋から乗って、町屋駅前でバラの市をのぞき、荒川遊園地前まで足を延ばす。都電一本で区の東から西へ一日を組み立てられるのが、この区で会う楽しさです。
バラは春と秋の二度咲くので、春に乗った区間を秋にもう一度乗ってみると、半年前の車窓と比べながら過ごせます。
夏は西日暮里の諏方神社へ
西日暮里の諏方神社は、日暮里と谷中の総鎮守です。例祭は例年8月で、境内から周辺の道にまで露店が並びます。3年に一度の大祭(御神幸祭)の年には本社神輿が町内を渡御するので、今年がその年かどうかを調べてから誘えば、夏の約束に一つ楽しみが増えます。
汐入公園の桜、尾久の原のトンボ
汐入公園には200本を超える桜や紫陽花が植えられ、区の木でもある桜を春に見に行き、梅雨どきに紫陽花を見にもう一度訪れる、という重ね方ができます。尾久の原公園の湿地では、夏から秋にかけてトンボが飛び交います。季節が変われば同じ公園でも景色が入れ替わり、二人で通い慣れた場所が少しずつ増えていきます。
付き合いが恋活から婚活を見すえる段階に移ると、休日にどこで過ごすかより、ふだんの暮らしをどう重ねるかが大事になります。相手の住む地区を一緒に歩き、最寄りの停留場や駅のまわりの商店街をのぞいてみると、そこで暮らす毎日の手触りが伝わり、将来の暮らし方も具体的に思い描けます。
彼女探しを本気で始めるつもりなら、メールアドレスを一つ送ってもらうだけで申し込みになります。届いた申し込みは担当者が目を通し、結果はメールで知らせます。
橋と区境を越えて、隣の区に住む相手と会う
北の区境は隅田川の流れに沿っていて、町屋や南千住では東側も川に面しています。川向こうに住む相手と待ち合わせを相談するときは、対岸との間に架かる橋の名前を知っておくと、迷う時間が減ります。
尾竹橋と千住汐入大橋で足立区へ
町屋は北と東で隅田川に接し、尾竹橋で対岸の足立区とつながっています。尾竹橋通りを使って橋を渡ってくる相手なら、町屋駅の周辺で落ち合うのが自然です。南千住からは千住汐入大橋が足立区側へ架かっているので、対岸に住む相手とは汐入公園の堤防を歩く約束にしてもいいでしょう。区の西側でも、東尾久からは尾久橋通りと尾久橋が足立区方面へ延び、西尾久では小台橋が隅田川を渡ります。尾久寄りの対岸に住む相手なら、橋を渡った先にある尾久の原公園の芝生を行き先にできます。
南の台東区とは日暮里駅を目印に
南千住の南側は台東区の橋場・清川・日本堤・千束に接し、西日暮里の南は台東区の谷中・根岸と隣り合います。区境が長く続くので、台東区に住む相手とは路線の集まる日暮里駅で落ち合い、改札を出てから行き先を決める流れにすれば、相手を区の奥まで呼ばなくて済みます。谷中・根岸の側に住む相手なら、区境を歩いて越えてもらい、西日暮里三丁目の寺町で合流する形もとれます。
西隣の北区、文京区の千駄木
西日暮里は北側で北区の田端・田端新町と接し、西側で文京区の千駄木と接しています。区の最西端にあたる西尾久も、南と西を北区に囲まれています。東尾久も南側で北区の田端新町に接しています。北区の田端寄りに住む相手なら西日暮里駅、尾久に近い側に住む相手なら西尾久のあらかわ遊園まわりで会うと、区境をはさんで会う場所として考えやすくなります。千駄木側に住む相手となら、諏方神社の境内で待ち合わせれば、電車を使わずに歩いて来てもらえます。