新宿駅を真ん中に、北は学生街、東は坂のある町
新宿駅には、JRの山手線・中央線快速・中央・総武線各駅停車・埼京線・湘南新宿ライン、小田急小田原線、京王線・京王新線、東京メトロ丸ノ内線、都営新宿線・大江戸線が乗り入れています。2020年7月には東西自由通路が開通し、改札を通らずに駅の東側と西側を歩いて抜けられるようになりました。西側には都庁が建つ西新宿の高層ビル街、東側には新宿三丁目へ続く繁華街があります。西口のオフィス街で働く相手と東口側で食事をする日も、この通路を使えば駅の中を抜けて合流できます。
昼と夜で街にいる人が入れ替わるのも、この区らしいところです。昼間人口は夜間人口のおよそ2.5倍とされ、通勤や通学で区外から入ってくる人の多さがよく分かります。新宿で出会いを探す場合、職場の近くで知り合った相手でも、休日に会う段になれば、相手の住まいがある沿線が予定の基準になります。
地形は武蔵野台地の一部で、区内を神田川と妙正寺川が流れています。神田川は区の北側を東西に流れ、妙正寺川が流れるのは区の北西、中井や落合のあたりです。境を接するのは渋谷区や豊島区、中野区など六つの区です。西新宿は都庁を中心に超高層ビルが並ぶ一帯で、工学院大学もこの地区にあります。
学生街の高田馬場と、留学生の多い新大久保
高田馬場駅にはJR山手線、西武新宿線、東京メトロ東西線の三路線が乗り入れています。周りに大学や専門学校、予備校が集まる学生街として知られる町です。早稲田大学は本部を区内に置き、早稲田と戸山にキャンパスがあります。駅の周辺にはミャンマー出身の人たちのコミュニティがあり、「リトル・ヤンゴン」の呼び名もあります。
2008年に開業した副都心線は区内に三つの駅を持ち、池袋・新宿・渋谷を一本で結んでいます。急行と通勤急行も新宿三丁目に停まり、沿線の駅からなら北の池袋や南の渋谷へ乗り換えなしで出られるので、区外に住む相手との待ち合わせを考えるときにも頼りになる路線です。北の和光市からは東武東上線、南の渋谷からは東急東横線と直通運転を行っており、その沿線に住む相手なら、直通の電車に乗れば区内の駅まで一本で来られます。
山手線の新大久保駅も区内にあり、2020年に新しい駅舎が完成しました。周辺には日本語学校が多く、留学生の利用も目立つ駅です。駅の東側には韓国料理店や韓国コスメの店が並び、西側の百人町には昔から楽器店が多くあるほか、アジア各地の料理店や食材店も集まっています。週末はとくに混み合うため、初対面の待ち合わせよりも、何度か会ったあとで食事に出かける街と考えるほうが落ち着いて過ごせます。
神楽坂と四谷、江戸の名残がある東側
神楽坂は、外堀通りの神楽坂下交差点から、早稲田通りと大久保通りが交わる神楽坂上交差点まで上っていく坂です。毘沙門天善國寺や赤城神社があり、兵庫横丁やかくれんぼ横丁の石畳には花街だった頃の面影が残ります。アンスティチュ・フランセ東京など、フランスにゆかりのある施設もある街です。東京理科大学の神楽坂キャンパスも、この界隈にあります。
区の南東にある四谷は、江戸の西の出入口だった四谷大木戸にあたる地域です。その名前は、いまも新宿御苑の大木戸門に残っています。四谷の北に広がる牛込地域には神楽坂のほか市谷や早稲田が含まれ、文学にゆかりのある土地が多く、漱石山房記念館のある早稲田南町もその一つです。
最初の一回に向く庭園と、静かな公園
高層ビルと繁華街の印象が強い区ですが、駅から歩ける範囲に緑の多い場所がいくつもあります。初めて会う日の候補になる場所の、降りる駅と土地のいきさつを先にまとめておきます。
| 場所 | 所在地 | 駅・入口 | 土地のいきさつ |
|---|---|---|---|
| 新宿御苑 | 内藤町 | 新宿門・大木戸門・千駄ヶ谷門 | 信濃高遠藩内藤家の下屋敷から皇室の庭園を経て、1949年に国民公園として開放 |
| 新宿中央公園 | 西新宿二丁目 | 都営大江戸線 都庁前駅、新宿駅から徒歩約10分 | 2020年の整備で芝生広場と商業施設ができた |
| おとめ山公園 | 下落合 | 高田馬場駅から徒歩約7分 | 将軍家の狩り場として立ち入りが禁じられた「御留山」が名の由来 |
| 漱石山房記念館 | 早稲田南町 | 東西線 早稲田駅から徒歩約10分 | 夏目漱石が晩年の9年間を過ごした「漱石山房」の書斎などを再現し、2017年に開館 |
新宿御苑は環境省が管理する約58haの国民公園です。日本庭園、イギリス風景式庭園、フランス式整形庭園と様式の違う区画が続くため、歩く順番を細かく決めずに入っても、景色の変わり目がそのまま話の種になります。初対面で会話が途切れるのが心配な人にとって、心強い場所です。入口が一か所ではないので、どの門で会うかを先に伝えておけば、広い園内で互いを探して歩き回ることもありません。開園時間は季節によって変わるため、夕方から会う日は、その時期の閉園時刻に合わせて待ち合わせの時間を決めます。
新宿駅で落ち合う場合は、西口の様子に注意が要ります。西口一帯では再開発の工事が続いていて、歩行者の通り道が切り替わることがあります。店や建物を目印にするより、改札の名前で場所を決めたほうが行き違いを防げます。工事の囲いが気になる日は、東西自由通路を抜けて東口側で会うことにしても構いません。
西新宿で働く相手なら、仕事帰りに新宿中央公園で待ち合わせる形が無理のない流れです。都庁の西隣にある約8.8haの公園で、新宿ナイアガラの滝や白糸の滝があり、滝のある広場は目印として伝えやすい場所です。公園の隣には十二社の名でも呼ばれる熊野神社があり、滝の広場から足を延ばせる距離です。
神楽坂で会うなら、坂の下と上のどちらで落ち合うかを先に決めておきます。坂下側は飯田橋駅、上の方は東西線の神楽坂駅や大江戸線の牛込神楽坂駅が近く、どちらから歩き始めるかで、坂を上る一日になるか下る一日になるかが決まります。
住まいが区の東西に離れている二人にとっては、都営大江戸線が便利です。都庁前、牛込神楽坂、中井と、区内の離れた地区をこの線が結んでいるため、会う場所を西新宿から神楽坂、落合へと変えても、移動が複雑になりません。大江戸線は新宿駅にも停まるので、ほかの路線から乗り継いでくる相手とも合わせやすい線です。
高田馬場を使う相手となら、駅から歩いておとめ山公園へ向かい、弁天池のほとりで話すという過ごし方ができます。池に流れ込む湧き水は「東京の名湧水57選」に選ばれています。戸山公園は、江戸時代に尾張藩徳川家の下屋敷「戸山荘」があった場所です。戸山二丁目にある園内には標高44.6mの箱根山があり、散歩の途中で公園の中の小さな山に上ってみるのも、ちょっと変わった寄り道になります。
天気の面では、7月と8月の平均気温が25℃を超え、蒸し暑い日が続きます。夏の屋外は午前中か日が傾いてからにしましょう。6月と9月、10月は雨の多い月です。漱石山房記念館は屋内で過ごせるので、雨の日の行き先として控えておくと安心です。冬は1月の平均気温が5℃台まで下がるため、庭園を歩くなら日差しのある昼の時間に絞るのが無難です。4月や11月も平均気温は15℃に届かず、夕方からの散歩には上着が一枚あると助かります。
狛江・和光・蕨から新宿へ向かう三本の線
狛江市、和光市、蕨市は、いずれも新宿区と境を接していない市です。新宿から見て狛江は南西、和光は北西、蕨は北の方角にあります。三つの市はそれぞれ別の路線で新宿区とつながっているので、相手がどの線で来るのかから待ち合わせ場所を考えます。
小田急線の先にある狛江市
小田急小田原線は新宿駅が起点で、狛江市内の駅まで乗り換えなしで結ばれています。市内の中和泉には、万葉集の東歌「多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだ愛しき」を刻んだ万葉歌碑(玉川碑)が立っていて、いまの碑は1923年に建て直されたものです。新宿駅から小田急線に乗る側なら、途中の駅で落ち合う場合も乗り換えは要りません。最初は新宿駅の小田急線の改札で会い、親しくなってから相手の地元で、恋の歌が刻まれた碑を見に行くという順番も考えられます。
副都心線で一本の和光市
税務大学校は1998年7月、新宿区若松町にあった校舎を移して、和光市に和光校舎を開きました。いまの埼玉県和光市と新宿区をつなぐのは、和光市駅を起点とする東京メトロ副都心線です。この線に乗れば、区内の西早稲田・東新宿・新宿三丁目まで乗り換えずに着きます。和光で出会いを探すなら、この一本の線が二人をつなぐ軸です。西早稲田駅で降りて戸山公園を歩くか、急行も停まる池袋駅(豊島区)で間をとるか、距離に合わせて決められます。
赤羽で線を乗り継ぐ蕨市
京浜東北線の蕨駅から歩いて約12分、蕨城址公園の隣には和樂備神社があります。室町時代に渋川氏が蕨城を築いた際の守護神と伝わる神社で、例年10月に例祭が開かれます。蕨から新宿方面へは、京浜東北線で赤羽まで出て、埼京線に乗り換えると池袋を経て新宿駅に着きます。赤羽駅(北区)で会う約束にすれば、蕨の相手は京浜東北線に乗っているだけで着き、新宿駅から向かう側も埼京線を降りればそこが待ち合わせ場所です。
二月の反物、七月の踊り、十一月の菊
付き合いを真剣に考え始めたら、二度目、三度目に会う日の予定は、区内の行事から組み立てられます。
冬の終わりには「染の小道」があります。例年2月下旬の週末、西武新宿線と大江戸線の中井駅周辺で、妙正寺川の上に反物を渡し、商店街の店先にのれんを掛ける催しです。大正時代以降、きれいな水を求めた染色の職人が神田川の上流へ移り、早稲田・高田馬場・落合に工房を構えた歴史がもとになっています。会場が中井駅の周りに広がっているので、駅で待ち合わせてそのまま歩き始められ、寒い時期の散歩にも川沿いを歩く理由ができます。
春の新宿御苑には約70種・約900本の桜があります。ソメイヨシノの見頃は例年3月下旬から4月上旬、八重桜は4月中旬から下旬なので、同じ庭園で時期をずらして二回花を見ることができます。品種が多いぶん、花を楽しめる期間も長めです。花の進み具合は春ごとに違うので、出かける前に見頃の便りを確かめてください。
7月は行事が重なる月です。神楽坂まつりでは、前半の2日間に毘沙門天善國寺の境内でほおずき市、後半の2日間に阿波踊り大会が例年開かれます。7月最終土曜日を例年の開催日とする新宿エイサーまつりは、2002年から新宿駅東口の周辺、新宿通りなどで沖縄のエイサーが披露される祭りです。どちらも人出が多いので、お互いに慣れてきた頃の予定に向いています。おとめ山公園では例年7月にホタル観賞会が開かれますが、中止になる年もあるため、行く前に公園の告知に目を通してください。
読書の話題が合う相手となら、漱石山房記念館を見学したあと、記念館のある早稲田南町から神楽坂の方へ牛込の町を歩いてみる日も組めます。季節を選ばない予定なので、行事のない月の候補になります。
秋は戸山公園の箱根山地区で、例年10月に高田馬場流鏑馬が公開されます。享保13年(1728年)に8代将軍吉宗が世嗣の病気平癒を願って奉納したのが始まりとされ、区が無形民俗文化財に指定した行事です。会場へ歩ける早稲田駅は漱石山房記念館へ向かう駅でもあり、空模様があやしくなったら屋内の見学に切り替える手も残せます。11月前半には新宿御苑の日本庭園で菊花壇展が例年開かれ、春に桜を見た二人なら、同じ庭園の秋の顔を見に行く流れになります。
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